日本海拡大期の回転運動と断層運動，沈降運動，火山活動の相互関係解明

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K14822
• Research Institution: National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
• Principal Investigator: 細井 淳 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (50760196)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 棚倉堆積盆 / 棚倉断層 / 日本海拡大 / 回転運動 / 古地磁気 / 古応力

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，棚倉断層沿いに形成された新生代の棚倉堆積盆を対象とし，日本海拡大期の回転運動と断層運動，火山活動，沈降運動の相互関係解明を行うものである．具体的には，野外地質調査と古地磁気・岩石磁気測定，放射年代測定を行う．得られたデータから（１）棚倉堆積盆を埋積した地層の高精度な層序を構築する．その上で，（２）棚倉堆積盆における回転運動の時期と回転量などを解明する．また，本研究の成果とこれまでの研究代表者の成果を組み合わせ，（３）棚倉堆積盆における回転運動と棚倉断層の運動，火山活動，沈降運動の関係を検討する．
研究２年目は，初年度に引き続き，研究の基礎となる地質データの取得（野外地質調査の実施）を行うとともに，古地磁気分析用の試料を採取した．また，一部の地域では地質調査と同時に古応力解析のための小断層や岩脈のデータ収集し，その解析を実施した．
棚倉堆積盆における層序構築およびそれに基づく成果（比較的短い期間の間に，多様な変化を辿ったことが推定されたこと）は，研究初年度中にJournal of Asian Earth Sciences誌に公表済みである．本年度は岩脈を用いた応力解析の結果，棚倉堆積盆形成開示時期に相当する1700万年前頃に，WNW-SES方向の引張応力場であったことが判明した．その成果は学術雑誌（地質学雑誌）に受理された．古地磁気分析については採取した試料の分析を進めている．一部の層準からは有用なデータが得られたが，別の層準からは，古地磁気方位を記録する磁性鉱物があまり含まれていないことが判明した．

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

概ね順調に進んでいたが，2020年10月から1年間の出向になり，研究現場から離れてしまい，その結果，やや遅れ気味になっている．

Strategy for Future Research Activity

古地磁気測定試料の採取と、採取した試料の古地磁気・岩石磁気測定を中心に行う．但し，試料によっては古地磁気データが得られないことがあるため，古地磁気・岩石磁気測定と野外地質調査・試料採取は，同時並行で実施する．
また，地層の絶対年代を明らかにするため，放射年代測定（ジルコンFT・U-Pbダブル年代
測定）を行う．
本研究は出向に伴い，やや遅れ気味である．今年の9月末までの1年間の出向がある理由も考慮し，1年分の事業期間延長の申請も検討する．

Causes of Carryover

2020年10月から1年間の出向になり，研究現場から離れてしまい，その結果，当初計画の通りの予算執行を行うことができなかった．今年の9月末までの1年間の出向によって研究を実施できないことを踏まえて，1年分の事業期間延長の申請も検討を行い，本研究の遂行及び予算を使用する．