2019 Fiscal Year Research-status Report
腐食鋼桁端部のRapid-Response当て板補修工法とそのガイドラインの開発
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19K15076
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森山 仁志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (50825495)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 構造工学・地震工学 / ブラインドボルト / ワンサイドボルト / 補修・補強 / 当て板 |
Outline of Annual Research Achievements |
土木構造物へ適用可能なBlind Boltについて国際的に調査し,複数の候補から,本研究ではパイロット的にHenry Venable Products LtdのBlind Boltを対象にすることとした.国内では入手不可であるため,海外の代理店を経由してこのボルトを入手した.次に,Blind Boltを用いた摩擦接合継手・当て板補修部の実験供試体を製作するための大型鋼板を確保した.供試体の製作および載荷実験は.予算の関係上,次年度に実施することとした. 高力六角ボルトを対象として,純引張を受ける当て板補修部の要素解析を実施した.腐食部の断面欠損率,当て板厚,板幅,ボルト本数など多様なパラメータに着目した解析を行い,健全状態の部材耐力まで回復できる補修部の構造諸元について検討した.その結果,補修効果の程度は降伏限界の発生順序に関連しており,補修できた場合は純断面降伏,そうでない場合は欠損部降伏が先行することが明らかとなった.そして,補修後の最大耐力を健全時の純断面破断耐力まで回復することができる構造諸元とその決定式を提案した. その他,借受けの有無や補修時の穿孔による死荷重応力の再分配を再現することができる,損傷桁端部の数値モデルの製作に取組んだ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象としたBlind Boltは国内では入手することができないため,海外の代理店を通じて購入することとした.アジア圏では唯一香港に代理店がありそこから購入した.しかしながら,政治デモ活動の影響を受け,納品日が予定より大幅に遅れた.また,要素引張継手の製作および載荷実験は,予算の関係上,次年度に実施することとした.以上の理由より,当初計画よりやや遅れが生じている.一方,高力ボルトを対象としてではあるが,純引張を受ける当て板補修部の要素解析,曲げとせん断を受ける桁端補修部を対象とした解析に着手し,次年度以降の研究活動が円滑となるよう取組んでいるため,当初の研究計画を達成できるものと判断している.
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Strategy for Future Research Activity |
R2年度は,①Blind Boltの基本性能の把握,②Blind Boltを用いた摩擦接合継手・当て板補修部の要素引張実験およびそれの再現解析,③実験結果と数値解析結果によりBlind Bolt接合部の力学挙動の解明,④純引張を受ける高力ボルトおよびBlind Bolt当て板補修部の設計方法の確立,のこれら4点の課題に取組む.特に,計画が予定より遅れているBlind Bolt自体の基本性能の把握に重点を置く. Blind Bolt自体の基本性能は,既存の高力ボルトやBlind Bolt(国内ではハック高力ワンサイドボルト,高力スタッドボルト)と比較することで,対応する呼び径・等級を明らかにしたい.載荷実験と数値解析においては,締結材の違いが当て板の荷重分担性能に及ぼす影響,締結材に依存した脆性的な破壊モードの有無について確認する. 純引張を受ける当て板補修部の設計法の確立は,再現解析により妥当性を保証したパラメトリック解析の結果を用いて行う.本年度と同様の手法により,断面構成やボルト本数等の構造諸元と当て板補修部の補修後耐力,降伏進展プロセスの関係を明らかにし,補修効果を期待できる構造諸元,構造諸元と荷重分担率の関係を提案する.最後に,これらの知見を踏まえて,設計法を提案する.
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Causes of Carryover |
実験供試体を製作する予算が不足しているため,本年度と次年度の助成金を組合わせることで供試体を製作することとした.
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