2021 Fiscal Year Research-status Report
腐食鋼桁端部のRapid-Response当て板補修工法とそのガイドラインの開発
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19K15076
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森山 仁志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (50825495)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 構造工学・地震工学 / ブラインドボルト / ワンサイドボルト / 補修・補強 / 当て板 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の製品引張試験と材料試験の結果をもとに,ブラインドボルトの一面せん断試験を行った.パラメータは,導入軸力・せん断面位置,ブラインドボルトのアンカーの方向と作用力方向の関係とした.また,昨年度に引き続き, 高力六角ボルトを対象として腐食損傷を有するI桁端部の当て板補修解析を行った.耐荷力の低下が著しい支点上補剛材の下端が全損した場合を考え,当て板補修部の構造寸法・ボルト本数,当て板端面と下フランジとの隙間をパラメータにした.腐食欠損高は100mmとした. 製品引張試験とせん断試験の結果より,10.9 Classで呼び径M24のブラインドボルトは,引張抵抗はF8T - M16高力ボルト相当,せん断抵抗はF10T - M24高力ボルト相当の性能を有していることが明らかとなった.ただし,せん断抵抗については,せん断面が不完全ねじ部またはねじ部にあり,アンカー方向と作用力方向が平行する場合に上記の性能を発揮している.これらの結果より,ブラインドボルトの継手や当て板補修部は引張力を受ける場合が最も厳しいことが想定される.したがって,最終年度は,ブラインドボルトを用いた引張接合継手の力学挙動を検討することで計画を進めている. 数値解析については,当て板端面と下フランジの隙間が支点上補剛材の有効断面で評価した柱の降伏変位より大きい場合には,下フランジが当て板に接触する前に,支点直上のウェブパネルが座屈し補修が出来なかった.そこで最終年度は,隙間にフィラーを挿入した場合に補強効果が確認できるかを確認する.また,ブラインドボルトを使用した場合についても検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大を受けて,当初計画より研究活動に遅れが生じている.最終年度は構造体レベルでの検討に注力し,ブラインドボルトを用いた引張接合継手の数値解析,補修桁端部の載荷実験・数値解析を行い,ブラインドボルトを用いた継手・当て板補修部の実現可能性を探索する.
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は,①ブラインドボルトを用いた引張接合継手の数値解析,②補修桁端部の載荷実験・数値解析を行う.引張接合継手については,スプリットティー同士のT-T継手を対象とし,ティーフランジ・ティーウェブ,ボルト配置間隔に着目したパラメトリックスタディを行う.解析結果より,高力六角ボルトを用いたT-T継手の破壊モードと一致するか,既存設計式は適用できるかなどを検証する.T-T継手の検討が円滑に進んだ場合には,柱梁接合部の仕口継手を対象とした検討も行う. 桁端部の載荷試験では,実寸大の供試体を用いて,補修後桁端部の耐荷メカニズムを解明する.疑似的な腐食損傷を設けた試験体に対してBlind Boltにより当て板補修を行い,補修効果を確認する.また,鋼重や補修作業の時間・人数から,工法のRapid-Response性も評価する.安全面を考慮しつつ可能な範囲で,ボルト孔の穿孔,ボルトの締付け等による応力再分配を追跡し,それらが当て板の荷重分担性能に及ぼす影響を確認する.
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れているため昨年度予算のすべてを執行していない.今年度早々に数値解析を実施できるよう,計算機器等の設備に予算を充当する.
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