2021 Fiscal Year Annual Research Report
植生生体電位を活かした表層崩壊バイオアラームの開発
Project/Area Number |
19K15089
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古川 全太郎 九州大学, 工学研究院, 助教 (70735985)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表層崩壊 / 植生 / 生体電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
植生生体電位の計測による表層崩壊バイオアラームの開発を目的に,植物根のせん断とそれ以外の外的刺激による生体電位の変動特性を分離するための実験を行った.豪雨時の主たる外的刺激として,土壌水分量の経時的な上昇と風刺激を与えた.また,根の引張試験を行い,引張刺激のみに対する生体電位応答を確認した.また,高速フーリエ解析(FFT)を用いてそれぞれの外的刺激による電位応答を分析した.対象とした植物はスギ,クヌギ,ヤシャブシであった. 潅水試験では,潅水量50mm/h時と75mm/h時を比較すると,スギ及びクヌギの根,ヤシャブシの幹の電位の平均値が増加した.静置時と潅水験時の電位についてFFTを行うと,スギは0.1-0.2Hz,クヌギは0.25-0.5Hzにかけて静置時と潅水時の比が,ヤシャブシは0.15Hzと0.6Hzで比の値が大きくなり,植物種によって電位反応が異なった.送風試験では,風速が最大の段階ではスギ幹の電位の平均値が静置時の1.14-1.79倍となった.引張試験では,スギの根においてせん断後の電位振幅平均値が,せん断発生前と比較して1.07倍となった.スギの静置時と各種試験時の電位の振幅値,卓越周波数に対してt検定を行うと,5 %水準で有意差が見られた. 加えて,深層学習の一種であるLSTMを用いて,一面せん断試験中に計測したスギの生体電位反応からせん断応力の経時変化を予測する手法を検討した.その結果,精度のよいモデルを構築するためには,予測したいデータの600秒前までを訓練データとして用いるとよいことが分かった.予測精度を高めるための最適なパラメータを検討し,MAE=0.22,決定係数R2=0.99を得,生体電位反応を変数として地盤のせん断強さを予測できることが示唆された. 一昨年度までの研究成果を含め,これらの成果を国内学会6編,シンポジウム1編にまとめた.
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Research Products
(20 results)