2019 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic and statistical approaches to super moon effect on beach morphological change
Project/Area Number |
19K15106
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
伴野 雅之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (80549204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スーパームーン / 近地点 / 海岸侵食 / 砂浜 / 波浪 / 潮汐 / 周期性解析 / ディープラーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,波浪や海浜変形の長期観測データ等を最大限に活用し,これまでに誰にも解明されていない新現象であるスーパームーンによって生じる海浜地形変化(スーパームーンエフェクト)を種々の統計手法および力学モデルを用いて科学的に立証するものである。 2019年度は,波崎海岸で得られた1986年から2010年までの長期海浜地形観測データセットに対してスペクトル解析を行い,スーパームーン特有の周波数領域について波浪や海面変動に対する応答解析を行った。これによりスーパームーンエフェクトの存在を明らかにし,2019年度終盤において論文にとりまとめ,学術誌に投稿しているところである。統計的に得られたスーパームーンエフェクトは海岸管理上無視できない大きさであり,スーパームーンと同時に高波浪が来襲すると大規模な侵食が生じることが示唆されている。 同時に,スーパームーンエフェクトを生じさせる潜在的な要因についての解析を行うためにディープラーニング手法を用いた地形変化モデルの構築に取り掛かかった。本モデルについては,モデル構造の調整や観測データを用いた学習がまだ十分ではないものの,典型的な海浜地形に生じる変化を再現できており,スーパームーンエフェクトをモデルによっても確認できる可能性は高いと考えている。 2020年度は,これらの統計的に見い出された現象に対して力学的な実証及びメカニズムの解明のための現地観測およびモデル化を予定している。最終的には本現象を考慮することで既存の予測技術を大幅に向上させることができると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた統計的手法によるスーパームーンエフェクトの現象抽出は完了しており,仮説をある程度実証できた。また新たな手法であるディープラーニングを用いた海浜地形変化モデルは先駆的な研究成果となり得るものであり,研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には,高頻度な前浜地形と海面水位等の水理学的な要因の連続観測を現地にて行う予定である。これにより,2019年度までに統計的に得られたスーパームーンエフェクトのメカニズムを解明する。さらに現地観測結果にもとづき,スーパームーンエフェクトを力学モデルによって再現し,その影響の大きさを検証する。最終的には既存の地形変化モデルをスーパームーンエフェクトを考慮することで改良し,革新的な地形変化予測技術へと発展させる。
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Causes of Carryover |
2019年度においては,統計解析を主として進めたが,使用したデータ量が当初予定よりも大きくなく,大容量保存媒体は本年度必要とならなかった。一方で,2020年度予定している現地調査によって得られるデータ量は膨大となると考えられ,次年度以降に物品費として使用することが妥当と考えられた。そのため次年度使用額が生じた。 2020年度において,データ保存媒体等の物品購入費および論文投稿料に充てることとしたい。
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Research Products
(5 results)