2020 Fiscal Year Research-status Report
ジオタグ付きTwitterデータを用いた都市生活者の暑熱環境に対する意識の分析
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19K15152
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Research Institution | National Institute for Land and Infrastructure Management |
Principal Investigator |
熊倉 永子 国土技術政策総合研究所, 都市研究部, 主任研究官 (90716135)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ツイッター / 温冷感申告 / ジオタグ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの分析では、温冷感を表す様々な単語を含む投稿を対象にしていたが、気象データとの関係を分析する上では、暑さや涼しさを感じる瞬間を対象とする必要があり、今年度は、「暑い」「涼しい」のみを含む投稿を抽出した。また、投稿数の減少を補うため、2012年から2019年の夏期に限らず1年間を対象とし、全国に拡大して位置情報付き投稿を取得して分析に用いた。 月別投稿数の傾向では、「暑い」は7月、「涼しい」は8月が最多であった。時刻別の投稿数では、「暑い」「涼しい」共に年間を通じて4時台の投稿が最小であった。「暑い」は月に関わらず12時にピークとなるが、「涼しい」はピークが見られなかった。しかし8月から10月にかけては、朝7時頃と12時に投稿数が多くなる傾向であった。これらより、生活行動だけでなく、季節や時間帯で投稿数が変化していることから、気象条件に応じて人々が「暑い」「涼しい」を投稿していることが示唆された。 そこで、全国で最も投稿数が多い東京を対象に、投稿された位置と時間を元に、最寄りの気象台の気温を取得し、投稿数と気温に対する期待値の関係をみた。「暑い」は、気温が20度付近から増加し始め、28度付近から中央値が急上昇した。「涼しい」は、24度付近から増加し30度までは横ばい、31度から中央値が上昇傾向にあった。これより、投稿を人々の温冷感申告と捉えると、暑い側は28度以下の気温に抑える必要があること、また、24度まで気温を下げることで人々が涼しさを感じるという結果が得られた。 次に、投稿数と気温に対する期待値の関係を月別でみると、気温が20度から34度付近の「暑い」では、その気温が出現する最初の月がピークとなり徐々に減少し、逆に「涼しい」では8月のピークに向けて徐々に上昇する傾向が見られ、気温に対し人々が順応する様子がツイートの結果から見て取ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から現地測定を中止し、データを見直して追加データを購入した結果、データ数を増やせたことに加え、新たな分析方法で実施することができ、必要とする知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた現地測定や国内外の大会参加のための旅費等は、次年度も引き続きデータの購入等に充てる予定である。投稿数の統計的な分析をまとめる目処が立ち次第、投稿された場所に関する分析も進めていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、予定していた実測を中止したことや、当初予定していた国内外の学会へ参加できなかったため差額が生じた。次年度も引き続き、出張の中止が予想されることから、追加データ購入費や、関連研究の国内外の情報収集の予算に充てる予定である。
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