2019 Fiscal Year Research-status Report
Research Productivity and Bureaucracy: Research Evaluation, University Organization, and Strategy of Researchers
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19K15239
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福本 江利子 広島大学, 学術・社会連携室, 研究員 (40835948)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 研究 / 研究者 / 生産性 / 評価 / 成功 / 失敗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の主な目的は、研究や研究者の生産性について、単に論文数などの量的指標によらず、生産性の根本的な意味やそれを取り巻く環境・制度・文化による影響についての理解を深めることである。2019年度は、主に研究および研究者の生産性やその評価に関わる理論枠組みの検討と論文執筆に取り組んだほか、この理論枠組みを基に2020年度以降に実施するインタビューやサーベイ手法を用いた調査の大枠の方向の決定をし、具体的な設計や準備に着手した。理論枠組みについては、研究における生産性についての議論を深めるため、研究や研究者の生産性そのものだけでなく、研究における成功と失敗、評価の在り方、研究者の戦略なども含めて論じる論文の草稿を作成し、2020年度前半に学術誌に投稿することを目指している。研究者を対象としたインタビューおよびサーベイ調査などの手法を用いた調査の設計については、前述の理論枠組みをもとに、より詳細な研究上の問いの設定、調査対象の選定とリスト化、質問票の作成や、オンラインのサーベイ調査プラットフォームの作成と調整をはじめている。研究を進める過程で、米国および日本の研究機関に所属する研究協力者らと適宜議論の機会を設け、適切に研究を進められるよう助言を得ている。また、研究の生産性について理解を深めていく上での派生的研究として、日米の大学の戦略文書における研究、そして研究の生産性や卓越性に関する記述の分析に取り組みはじめたところであり、これは2020年6月の国際会議で簡易発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の計画遂行の進捗としては、まず研究および研究者の生産性やその評価についての理論的枠組みの検討とそれを基にした論文草稿を執筆し、2020年度前半に学術誌へ投稿することを目指している。これと並行して、2020年度以降に予定している調査に向けた作業(調査の枠組み決定、調査対象者の選定とリスト化、参加者招待文章作成、質問リストや調査プラットフォーム作成など)に取り組んでいる段階である。研究の過程で国内の協力研究者からの助言および議論の機会をもち、2020年2月に米国訪問の際にも協力者と面会し特にサーベイ調査への助言を得るなどしながら、理論枠組みと実際の調査設計の推敲と必要な資料の準備を進めている。また、派生的な研究として、大学の戦略文書における研究、そして研究の生産性や卓越性に関する記述の分析に取り組みはじめており、2020年6月の国際会議で簡易発表予定である。2019年度に主な取り組みとして予定していた理論枠組みに関する論文執筆、そして調査枠組みを含む研究の方向性の検討と準備に関しては、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を進める上での理論的枠組みの検討と関連する論文草稿の執筆を2019年度に進めてきており、この草稿については2020年度前半に学術誌への投稿を目指す。並行して、引き続きインタビューやサーベイ手法を用いた調査の具体的な設計、準備、施行に取り組み研究を推進していく。本研究課題では、2020年度以降に研究者を対象とした調査を予定しているが、なかでも特定の集団に焦点を当てて調査を進める方向で準備を進めている。調査で用いる質問票の推敲に加え、調査対象者からの参加を得るためのリクルート方法や招待文言などもあわせて検討し、順調に研究を進められるように努める。インタビューなどの調査については学内倫理審査に申請および承認後、順次実際の調査を進める予定である。学会での発表の機会も活用しつつ、さらに調査や論文執筆を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
2019年度に予定していた米国での国際会議に出席しての研究についての意見交換および情報収集は、台風の影響で航空便がキャンセルとなり中止となったほか、別途設けた米国の研究協力者との打合せも他用務での出張に併せて実施したため使用額が少額となっている。また、インタビューやサーベイ調査等の実施が2020年度以降となったため、2019年度の使用はなかった。これらの理由で、次年度使用額が生じている。2020年度以降に実施する調査や英語論文投稿準備において、次年度使用となった経費を使用予定である。
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