2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15254
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
市川 俊和 科学警察研究所, 法科学第二部, 研究員 (70822063)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 加熱式たばこ / 火災 / くん焼 / 安全工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
裸火を使用せず電気ヒーターからの加熱により喫煙する加熱式たばこ及びその加熱器は,近年,急速に普及しており,その火災危険性を理解することは,火災原因調査の観点から重要である。たばこ製造会社が販売するいわゆる純正品の加熱器については,製造会社が火災危険性に対する報告書を提出しており,加熱器内で最も温度が高くなるヒーター部の温度特性も報告されている。一方,加熱器の互換品として,加熱式たばこ製造会社以外の会社が販売する純正品ではない互換機も流通しているが,海外製品が多くその温度特性については取扱い説明書等に記載されていないことが多く理解が不十分であり,誤って加熱式たばこ以外の可燃物とヒーターが接触した際の延焼危険性等についても不明である。加熱器の互換機についてその火災可能性を検討することを目的とし,ヒーターの温度特性及び可燃物がヒーターに接触した際の延焼可能性を検討した。 純正品IQOS 2.4plus に対する互換機では,ヒーター形状がブレード形よりピン形で最高温度が高い傾向が見られ,ピン形互換機では最高温度443℃,ブレード形互換機では最高温度390℃とIQOS 2.4plus の最高温度を大きく上回る互換機も存在した。加熱時間はピン形互換機では4~5 分程度,ブレード形互換機では4 分程度のものが多く,IQOS 2.4plus の加熱時間と比べ短く設定されていた。くん焼実験において互換機及びIQOS 2.4plus のヒーター部におがくず及びティッシュペーパーを接触させた場合にくん焼が拡大しなかったことから,実験試料と最高温度,加熱時間,ヒーター形状等が類似の加熱器ではヒーター部におがくずやティッシュ等の可燃物が接触し加熱されたとしても延焼する可能性は低いことが予想された。 本研究課題に関して、国内学会発表を令和3年度に1件行い、令和4年度に学会誌で報告記事が1件掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響による出張・出勤制限等の理由により、通常業務及び科研費研究に支障が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
加熱器には純正品でない互換機が販売されているが,加熱式たばこでも純正品でない互換品が販売されている。それらの製品も海外製が多いため,今後 加熱式たばこの互換品をTG-DTA を用いて熱分析を行うとともに、互換機と加熱式たばこ互換品の組み合わせで火災危険性が生じるか検討を行うために互換機に加熱式たばこ及びその互換品を装填し加熱した場合の加熱式たばこ及びその互換品の温度やくん焼可能性について調査する。 加熱式たばこやその互換品もしくは互換機から周囲可燃物への延焼が認められた際には、延焼に至る周囲環境の境界条件を整理する。また、部屋や家屋等の実大規模の加熱式たばこ火災実験がなされていないことから、模擬室を建築し延焼・引火が確認された条件における実大規模の出火実験を行い、燃焼経過、焼損状況、出火時間、有毒ガスの濃度の等の情報を得る。実験を行う際には、加熱式たばこ・加熱器が出火源か他が出火源かの判断根拠を得るために、出火源の加熱式たばこ・加熱器の他に余分に加熱式たばこ・加熱器を室内に置き、燃焼実験後にそれらの焼損状況を比較することで火災原因調査に寄与する情報を得る。加熱式たばこやその互換品もしくは互換機から周囲可燃物への延焼が認められなかった際にも、模擬室を建築し、加熱式たばこ及び加熱器を模擬室内に置いたうえで、紙巻たばこのくん焼を出火源とする模擬室燃焼実験を自然鎮火が想定される条件及び模擬室全体燃焼に至ることが想定される条件の2条件で行い、その燃焼経過と一酸化炭素濃度ほかの濃度を観察し、建物内でたばこを出火源とする火災が起きた際の危険性について検証する。
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Causes of Carryover |
模擬室を建築し、実大規模の加熱式たばこ及び紙巻たばこを出火原因とする燃焼実験を行うため、模擬室の建築費用額及びその廃棄費用額を残す必要があったため。
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Research Products
(2 results)