2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of lubrication properties and low friction mechanism by solid lubricant aiming utilization at elevated temperature space
Project/Area Number |
19K15442
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 綾香 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 特任研究員 (90768912)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙用潤滑 / 低摩擦 / 耐高温 / 摩擦メカニズム / 特殊環境摩擦試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙用潤滑剤として高真空特性に優れ、既存の宇宙用潤滑剤の代替となりうるWS2について研究している。この材料は特に高温真空中の摩擦特性に優れ、同環境では既存の宇宙用潤滑剤よりその優位性が確認できている。またWS2の潤滑メカニズムを解明するためには最表面をWS2のみで仕上げるコーティング手法が必要であり、当コーティング技術について共同研究を締結し開発を行っている。滑りやすい潤滑材料をバインダーや中間層を使用せず、熱処理も行わず基板にコーティングすのは困難であると考えられていたが、その成膜に成功し同サンプルのトライボロジー試験を始めている。基板との密着性を維持しつつ、最表面は潤滑としての機能を発揮できなければ低摩擦係数は実現できないが、現在まで行っている摩擦試験において、低摩擦係数を示し優れた潤滑特性を確認している。滑り材料が基板に密着するメカニズムは解明されていないが、その情報が極めて重要であり、その原理について微細TEM分析にて調査中である。 実用化に則した潤滑サンプルも用意できており、こちらは高温高真空中で低摩擦係数と長寿命を示している。同サンプルにおいては耐宇宙環境性についても評価を進めており、強宇宙線照射による材料暴露試験を行ったが、寿命に影響する劣化は見られなかった。今後も詳細を調べる予定である。 また研究を円滑に進めるために摩擦試験用の試験機も設計しており、摩擦機構や環境制御機構の設計や加工準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験には共同研究先との調整や、設備保有先へ行き実験する必要もあるが、緊急事態宣言等の影響により、活動時間に制限がかかり、実験や実験装置の組み立てにおいてはその分の遅れが生じている。 学会参加や発表等は計画変更が生じているが、投稿論文についてはTribology Letter springer にて「Low Friction Mechanism Survey of Tungsten Disulfide by using XRD, XPS, and XAFS」が受理された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き滑り材であるWS2が単独で基板に密着するコーティングメカニズム解明に取り組むとともに、中間層やバインダーおよび熱処理なしで最表面をWS2のみで仕上げることができる当コーティング方法により、トライボロジー特性評価を行い、WS2の低摩擦メカニズムの解明を進める。また高温真空摩擦試験機の設計や加工を進める。
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Causes of Carryover |
実験装置に関して、移動制限等で装置の採寸や共同研究先との打ち合わせが困難な中で設計変更を行っているほか、参加を検討していた学会や研究会が相次いで中止・日程延期となっているため。
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