2019 Fiscal Year Research-status Report
金属クラスター湿式合成メカニズムの気相分光による解明
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19K15507
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
村松 悟 広島大学, 理学研究科, 助教 (40837796)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 金属クラスター / 極低温 / 気相分光 / 光解離分光 / エレクトロスプレーイオン化 / 飛行時間型質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,配位子によって表面保護された金属クラスターの湿式合成メカニズムを,気相分光によって明らかにすることを目的としている。2019年度は,気相分光装置の新規設計,製作,立ち上げを行った。具体的に,以下の成果を得た。 (1) 溶液中のクラスター合成系を真空導入するためのインターフェースとしてエレクトロスプレーイオン化法に着目し,新規に製作を行った。テスト試料として塩化セシウム(CsCl)/メタノール溶液から発生させたCs+イオンを用い,真空中でイオン電流を計測することで,装置の動作を確認した。 (2) 真空導入したイオンを蓄積するためのイオントラップユニットの設計を行った。特に,極低温分光への応用を志向して,ヘリウム冷凍機によってトラップを~4 K程度まで冷却する機構を組み込んだ。 (3) イオン検出部としての飛行時間型質量分析計の立ち上げを行った。特に,金属クラスターのような高質量化学種に対する検出感度の向上を狙って,イオン加速用の高電圧パルス電源を製作した。テスト試料として二酸化炭素クラスター正イオンを生成し,その質量スペクトルの取得に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現段階では大きな研究計画の変更等はなく,およそ当初の計画通りに新規装置の製作・立ち上げが進行しているため,おおむね順調に研究が進展していると判断した。今年度は設計までにとどまったイオントラップユニットに対し,その実装・立ち上げを早急に進め,分光実験を実現させることで,研究を加速度的に推進していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に設計を行ったイオントラップユニットを装置に実装し,光解離分光を実現する。その装置を用いて,エレクトロスプレー法で真空導入した金属クラスターおよびその合成中間体の紫外・赤外スペクトルを取得し,構造決定に挑む。
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Research Products
(5 results)