2020 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛におけるアンジオテンシン変換酵素2の役割の解明と新規治療薬の開発
Project/Area Number |
19K16376
|
Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
根本 亙 東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (80635136)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ACE2 / ジミナゼン / 炎症性疼痛 / 神経障害性疼痛 / 脊髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、慢性絞扼性神経損傷 (CCI) マウスで認められる神経障害性疼痛がACE2活性化薬ジミナゼン (DIZE) の脊髄クモ膜下腔内 (i.t.) 投与により抑制されることを見出しており、2020年度はその作用機序の解明を試みた。CCIマウスは手術後7日目において顕著な熱性および接触性痛覚過敏を示したが、これらの痛覚過敏作用はDIZE (1-100 pmol, i.t.) により用量依存的に抑制された。これらの抗痛覚過敏作用はMas受容体拮抗薬A779 (3 nmol, i.t.) により完全に消失したことから、CCIマウスに対するDIZEの抗痛覚過敏作用にはMas受容体が関与する可能性が示唆された。Mas受容体はアンジオテンシン (Ang) (1-7) の受容体であることから、DIZEはACE2の活性化を介してAng (1-7) の産生を促すことで抗痛覚過敏作用を示したものと考えられる。そこで次に、DIZE (100 pmol, i.t.) 投与後の後根神経節 (DRG) および脊髄におけるACE2活性を測定した。その結果、いずれの組織においてもvehicleを投与したsham群とCCI群においてACE2活性に差はなかったものの、DIZEはDRGに影響を与えることなく脊髄背側部のACE2活性のみを有意に増大させることが明らかとなった。これらの結果から、ACE2はCCIマウスで認められる神経障害性疼痛の発現には関与しないものの、DIZEによるACE2の活性化は痛覚過敏を抑制する上で有用な標的となり得ることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた通りに、炎症性疼痛および慢性絞扼性神経損傷マウスにおけるジミナゼンの効果を検討できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度は海外留学のため、当該研究を一時中断するが2022年度からは予定通り糖尿病性神経障害性疼痛に対するジミナゼンの効果を検討していきたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
試薬購入に使用予定だった費用が余ったが、残りの研究期間で使用する予定である。
|
Research Products
(2 results)