2019 Fiscal Year Research-status Report
膠芽腫の新規グリオーマ幹細胞マーカーLEFTYの同定、機能解析、そして臨床応用
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19K16567
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
秋谷 昌史 北里大学, 医学部, 助教 (80836099)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / がん幹細胞 / LEFTY / Nodal / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
膠芽腫の外科手術摘出検体を用いて、LEFTY, Nodalおよび各種がん幹細胞マーカー(Nestin, ALDH1など)、低酸素マーカー、上皮・間葉転換(EMT)マーカーの免疫組織学的検討を行った。病変部を、広範な壊死部、偽柵状配列部、非壊死性腫瘍部に分類して、それぞれの免疫組織学的マーカーの発現様式を検索した。LEFTY発現は広範壊死部周囲の膠芽腫細胞に高発現を示した。一方、偽柵状配列部や非壊死性腫瘍部でのLEFTY発現は極めて低発現で、両者間には統計学的有意差を認めた。同様の所見をNodalでも認めた。更に、広範壊死部周囲の膠芽腫細胞には、低酸素マーカーのHIF1aやがん幹細胞マーカーであるNestin、更には、AktやGSK3bなどの細胞内シグナル系関連分子の発現が増加していた。以上より、膠芽腫の高度の低酸素環境では、LEFTY/Nodal系の発現と共に、様々ながん幹細胞マーカー発現が誘導されることが明らかになった。このLEFTY/Nodal系とがん幹細胞化との分子機構を明らかにするために、培養細胞を用いた分子病理学的検索に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫染色で扱う抗体が10種類以上あり、その条件検討にやや手間取った。更に、臨床検体のために、夫々の固定条件等が異なる為、安定した結果を得るための工夫を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
膠芽腫培養細胞による証明 <項目>臨床検体で得られたLEFTY発現と癌幹細胞との関連性の結果を、培養細胞で検証する。<方法>①材料:膠芽腫培養細胞(KS,KINGS1,no10など)。LEFTYに関する各種プラスミド(既に作製済)。②LEFTY発現ベクターを用いた恒常的LEFTY高発現系細胞の作製と、LEFTYに対するshRNAによる内因性LEFTYノックダウン系細胞の作製し、それぞれの細胞で幹細胞マーカー発現の変化をRT-PCR法とWestern blot法で検索する。併せて、Aldefluor法およびSpheroid法で癌幹細胞を検出する。③癌幹細胞化の分子機構を、先行研究で証明したLEFTY/EMT関連シグナル系、TGF-β, Akt, GSK-3β, Snailのクロストークの観点から検索する。
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Causes of Carryover |
免疫組織学的検討の条件設定に予想以上に手間取り、研究進捗が遅れたため、年度内に使用予定の金額に達しなかった。今後、細胞培養等の分子病理学的検索で使用する予定である。
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