2020 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫における酸性環境下でのFOXM1発現と治療開発
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19K16801
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
土岐 俊一 徳島大学, 病院, 助教 (60837194)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FOXM1 / 肉腫 / 酸性環境 / チオストレプトン / 細胞増殖 / 遊走 / PLK1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Warburg効果として知られている通り、研究代表者らは先行研究で、軟部肉腫においても微小環境としての酸性環境の存在、またその悪性腫瘍の増殖、腫瘍進展(浸潤・遊走)への寄与を示していた。さらに、軟部肉腫のうち脂肪への分化能を有する組織亜型で、良性腫瘍である脂肪腫と悪性腫瘍である脂肪肉腫の臨床検体による網羅的遺伝子解析の結果、既報において12番染色体に存在することから各脂肪肉腫亜型との関連が考えられているFOXM1の発現が、脂肪肉腫群において有意に高いことを捉えていた。 さらに脂肪肉腫に着目して、細胞株SW872を用いたin vitroでの酸性環境暴露の有無で、マイクロアレイによる比較を行ったところ、FOXM1をはじめとして、その標的遺伝子PLK1(細胞周期G2/M transition及びM期関連遺伝子)、CCNB2、CDC25B(以上、G2/M transition)、CENPF、AURKB(以上、M期)の発現が著明に亢進していることが明らかとなった。また、PLK1はFOXM1に対して活性化因子としても知られており、positive feedbackが示唆された。また、過去の報告において低酸素ストレス下における固形癌ではHIF-1 alphaを介したFOXM1発現亢進が示されていたが、我々はSW872を用いた培養実験で実際に、酸性環境下(pH6.4のpH7.4との比較)でmRNA、タンパクレベルでのFOXM1高発現を証明した。さらに、シオマイシンAと並んでFOXM1阻害作用を有するチアゾール抗菌薬であるチオストレプトンを用いて、SW872に対するFOXM1発現量の減少、増殖抑制効果、遊走能の抑制を示すことができた。 肉腫における悪性化、腫瘍進展に多面的に寄与していると考えられるFOXM1を標的とする新しい治療法開発として、引き続き研究を進めていきたいと考える。
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Research Products
(2 results)