2022 Fiscal Year Annual Research Report
Time dynamics on information propagation in human brain performing hierarchical structure learning
Project/Area Number |
19K16894
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 広志 京都大学, 情報学研究科, 助教 (70734474)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知 / ベイズ学習 / 強化学習 / EEG |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは多くの学習を行い,学習した結果をもとに意思決定を行う.その学習がどのように行われているかを解明することは,単に「ヒトを理解する」という学術的な価値だけではなく,行動予測や学習支援などの社会的貢献が期待できる. 本研究では,ヒトが複数の情報源から意思決定を下すときの学習原理を明らかにした.複数の情報源がある場合,学習者は情報を組み合わせることで意思決定を行い,得られた結果から各情報と結果の対応関係を学習(更新)する.この学習はベイズ学習の枠組みで説明できる.しかし,更新すべき対応関係が複数ある状況において,どの情報源の対応関係を先に学習するか,つまり,更新順序はベイズ学習の枠組みでは規定されない. そこで,本研究では,さまざまな更新順序を持つモデルを用意し,どのヒトの学習はそのモデルに近いかを,行動とEEGによって検証した.計測実験の参加者は,2つの情報源(画像とその表示位置)から情報を得る.そして,その組み合わせから報酬が得られそうかどうかを予測し,回答する.回答に対して正解・不正解が表示され,実験参加者は画像・位置と結果の対応関係を学習する.全ての学習が1秒以内に行われることが予想されるため,神経活動計測として,時間分解能の高いEEGを使った. 実験によって,対応関係が確実な情報源から順番に更新されるモデルが,実際の行動をよく説明することが分かった.さらに,EEGのモデルベース解析では,更新の時間差を示す成分が観察され,モデルが示す更新順序と一致した. これらの研究結果は,ベイズ学習が時間的なダイナミクスを持っていることを示した.また,EEGを用いた時間分解可能な成分の観測は,脳内の学習プロセスをより詳細に解明することを可能にした.これにより得られたベイズ学習の新たな知見は,行動予測や学習支援の発展に大きく貢献する.
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Research Products
(3 results)