2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K16993
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
梅本 佳納榮 東海大学, 医学部, 助教 (80824945)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 経穴 / 前脛骨動脈 / 末梢神経 / 血管枝 |
Outline of Annual Research Achievements |
四肢末梢の動脈が発作性に攣縮して末梢循環障害が起こり、チアノーゼ、冷感、疼痛を自覚するレイノー現象は、しばしば難治性である。レイノー現象に対する治療として、保存療法、血管拡張剤の投与、物理療法、胸腔鏡下交感神経切除術などが行われているが、患者の満足が十分得られる治療法はない。これまで同現象に対して経穴に鍼灸刺激を行うことによる鍼灸治療の有用性が報告されており、レイノー現象などの末梢循環障害に対しては、動脈の近傍に位置する経穴へ鍼刺激を行うことが多い。動脈には脊髄神経の枝が分布しており、vascular nerve(血管枝)と呼ばれている。血管枝は交感神経線維を含むことが明らかとなっており、血管の収縮に関与すると考えられている。 申請者は、これまで橈骨神経浅枝から分岐する血管枝が第1・2中手骨底間(合谷穴)を走行する橈骨動脈に限局して分布することを明らかにし、合谷穴に対する鍼灸刺激が、手指のレイノー現象の改善に有効であることを解剖学的に示唆した。一方、足趾レイノー現象に対する治療には、第1・2中足骨底間に位置し、足背動脈に近接している太衝穴が用いられる。太衝穴は深腓骨神経の支配領域に位置しているが、血管枝との関係は調査されていない。2019年度は深腓骨神経から分岐する血管枝と太衝穴との関係を調査し、40肢すべてにおいて、太衝穴には足背動脈が走行し、深腓骨神経の血管枝が限局することを明らかにした。2020年度は下肢の末梢循環障害に対して用いられる足三里穴に焦点を当て、血管枝との位置関係を調査した。足三里穴の近傍には前脛骨動脈・深腓骨神経が走行しており、すべての例において、深腓骨神経から分岐する血管枝が前脛骨動脈に分布していた。深腓骨神経から分岐する血管枝は数本存在しており、それぞれの分布領域を解析するとともに血管枝に含まれる神経線維を現在、調査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度、足趾レイノー現象に用いる経穴の解剖学的研究は、当初予定していた太衝穴に血管枝が限局することを明らかにした。2020年度は、足三里穴に焦点を当て血管枝との位置関係を調査し、現在、分布領域の解析を行っている。足三里穴の深層には前脛骨動脈、総腓骨神経が走行しており、深腓骨神経から分岐する血管枝は数本存在し、前脛骨動脈に分岐することが明らかになった。足三里穴以外にも前脛骨動脈上には経穴が存在しており、それらの経穴と血管枝との関係を明らかにすることでレイノー現象に対する治療点としての有効性を解剖学的に証明する根拠になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、前脛骨筋に位置する足三里穴にさらに焦点を当て、血管枝だけでなく、深腓骨神経から前脛骨筋に分布する筋枝にも注目し、足三里穴との位置関係を明らかにする。また、組織学的に深腓骨神経の枝を調査し、足三里穴が民間でも用いられる理由を解剖学的に明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、当初予定していた検体数よりも少ない数でデータが得られ、使用する試薬の購入が予定より少なく済んだことが挙げられる。 2021年度は足三里穴の深部を走行する総腓骨神経の血管枝だけでなく、前脛骨筋に分布する筋枝の組織学的調査も行うため、未使用額はその経費に充てることとする。
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Research Products
(5 results)