2022 Fiscal Year Annual Research Report
Neural Substrates of Antisocial Behavior in Anorexia Nervosa
Project/Area Number |
19K17088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
磯部 昌憲 京都大学, 医学研究科, 助教 (10777981)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経性やせ症 / 摂食障害 / 脳機能的MRI / 反社会的行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経性やせ症(AN)患者では、万引き行為が多くみられ、かつ疾患の重症度と関連することが報告されているが、ANと同じように行動変容に困難を抱える精神疾患は数多くある中で、なぜANでこの傾向が顕著であるかはいまだ明らかではない。本研究は、AN患者における行動変容の起きづらさについて行動実験および脳機能的MRI (fMRI)を用いて計測し、それに影響を与える認知心理学的特徴について健常対照群(HC)と比較することで、背景にある認知心理的要因および神経基盤を明らかにすることを目的とした。万引き行為の状況下における行動や心理的反応を再現する目的で経済ゲーム課題のInspection Gameを一部改変した行動実験課題を作成し、被験者が行う「働く」か「サボる」かの行動選択に対して得られた報酬刺激や罰刺激によって、その後にどのような行動選択の変容が起きるか観察できるようにした。行動実験課題の妥当性の検討を目的として、HC群とAN群のそれぞれを対象として対戦の状況を模した環境下で実験を行ったところ、AN群において行動選択に失敗し望ましくない結果のフィードバックを受けた直後の行動選択変更が、HC群と比較して有意に少ないことが明らかとなり、当初の予想通り行動変容の難しさを持つことが示唆された。また、失敗時に罰金が科された条件において、AN群は「サボる」行動の頻度が有意に少なく、摂食障害診断質問紙EDE-Qで測定された「食事制限」の重症度と有意な負の相関が見られた。本年度は、上記の行動学的特徴を説明する神経基盤を明らかにするため、HC群とAN群に対して安静時および課題実施下のfMRIを実施しており、その結果報告を令和5-6年度に実施する予定である。また、画像解析で得られた前頭極を中心とした脳機能的結合をターゲットとして、今後非侵襲性能刺激を実施し行動変容を誘導できるか検証する予定としている。
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Research Products
(9 results)