2020 Fiscal Year Annual Research Report
Epstein-Barr virus再活性化による潰瘍性大腸炎難治化の機序の解明
Project/Area Number |
19K17430
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 聡 京都大学, 医学研究科, 医員 (90837692)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / Epetein-Barr virus / 潰瘍性大腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎 (UC) の難治化において、増悪因子として既に知られているcytomegalovirusと同じヘルペスウイルスであるEpstein-Barr virus (EBV) の再活性化に着目し、検討を行った。免疫不全マウスをヒト免疫化しEBVを感染させる研究を計画していたが、条件設定にあたり、症例蓄積によるEBVおよびCMV再活性化のUC病態への関与について、更なる臨床的検討を要した。 活動期UC患者の大腸炎症粘膜において、既に増悪因子として知られているCMV再活性化率は疾患活動性や内視鏡的重症度に相関していなかった。しかしながら、CMV再活性化はステロイド治療への抵抗例に有意に多く見られ、ステロイドへの特異的な関与が示唆された。 一方、UC患者の大腸炎症粘膜におけるEBV再活性化率は、疾患活動性および内視鏡的重症度に相関が見られた。内視鏡的特徴として、潰瘍形成や浮腫状粘膜が有意に多く見られ、EBV再活性化が血流障害に関与する可能性が示唆された。また、UC治療の中でも免疫抑制剤であるtacrolimusや抗TNF-α抗体製剤治療への抵抗症例(難治例)の炎症粘膜において、有意にEBV再活性化が認められた。EBV再活性化は難治化の一因であるとともに、これら薬剤の免疫機序により誘発される可能性が示唆された。 現在、免疫不全マウスのヒト免疫化、さらにEBV感染へと、解析に向けて取り組んでいる。
|
Research Products
(3 results)