2019 Fiscal Year Research-status Report
プラークびらんを伴う急性冠動脈症候群における血栓形成の機序の解明
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19K17521
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 絵里香 京都大学, 医学研究科, 医員 (30837670)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性冠動脈症候群 / plaque erosion |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はプラークびらんによる急性冠動脈症候群発症の機序解明を目的とする。平成31年度は、数値流体力学(生体力学的ストレス)解析実行のために、オープンソースの血流解析システムであるSimVascularを用いて、光干渉断層(OCT)による冠動脈内画像を使用した解析モデルの構築を行った。OCT画像は冠動脈内のイメージを取得する際に、端子がらせん状に血管内をスキャンするために、得られた血管内画像はもともとの冠動脈の内腔に回転がかかった像となる。数値流体力学解析を行う際には、実際の冠動脈の3Dモデル構築が必要となるため、冠動脈造影画像/CT画像を用いて、回転のかかったOCT画像を補正し、実際の冠動脈の内腔を反映した3Dモデルを作成しなければならない。数値流体力学解析は精度の高い3Dモデルが必要となるため、現在実際のOCTデータを使用し、アルゴリズムを開発中である。 また、平行して生体力学的ストレスの評価の一貫として、プラークびらん症例による急性冠動脈症候群患者を含む、虚血性心疾患患者における微小血管抵抗/冠血流量データ測定/収集のためのレジストリーを立ち上げた。現在、一般臨床では、冠動脈疾患の治療適応を決定するために、冠動脈内にpressure wireを挿入し、冠血流予備比(FFR)を測定することがゴールデンスタンダードであるが、現在日本で使用可能な、pressure wireを含めた一連のデバイスでは微小血管抵抗/冠血流量を測定することは不可能である。そのため、新しい機器(Coroflow/Coroventis社)を用いて、微小血管抵抗/冠血流量を測定し、データの蓄積を行うプロトコールを作成、京大病院の倫理委員会の承認を得て、現在、患者データを登録中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値流体力学解析に関しては、3Dモデル作成のアルゴリズムを開発中であり、予定通り研究が進行している。微小血管抵抗/冠血流量データのレジストリー作成に関しては、レジストリー開始しており当初の計画より早く着手できている。 急性冠動脈症候群患者におけるJAK2mutaionの測定に関しては、臨床現場における試料採取の問題点、および施設内のワークフローに関して現在調整を行っており、概ね予定通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
数値流体力学解析に関しては、アルゴリズムを完成させ、実際の急性冠動脈症候群症例での解析を開始する。微小血管抵抗/冠血流量データのレジストリーに関しては、症例の登録を行い、データベースの構築を行う。急性冠動脈症候群患者におけるJAK2mutaionの測定に関しては、院内のワークフローを確立し、症例の蓄積を行う。
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