2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K17616
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
上木 裕介 順天堂大学, 医学部, 助教 (40837390)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / パラトルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
高血圧症は極めて予後不良疾患であったが、近年の研究成果により病態が少しずつ明らかとなり、肺血管拡張薬の進歩に伴ってその予後は飛躍的に改善した。 しかし発症機序や増悪原因を未だ解明できていない点も多く、早期診断に有用なバイオマーカーも未だ実用化されていないのが現状である。本研究は肺高血圧症とPTHの関連性を解明することで、バイオマーカーとしての利用や新たな治療戦略の可能性を目的としており、臨床症例の解析と基礎的研究による機序解明の検討を行っている。 臨床研究では当院で右心カテーテルを施行された肺高血圧および被疑症例の血中PTH濃度を測定し、心臓超音波、右心カテーテルなどで得られた右心負荷との関係性を解析した。当院の病院倫理委員会を通過し、30症例を収集し解析したところPTHの濃度は肺高血圧の重症度と相関していた。 基礎的研究は動物実験と細胞実験で検討を行っており、動物実験ではマウス、ラットを用いた低酸素刺激やVEGF受容体拮抗薬(sugen5416)投与による肺高血圧モデルを作成し、PTH投与による肺高血圧への影響を右心カテーテルで測定、また組織検体を用いて病理学的に肺動脈壁の肥厚、分子生物学的手法(RT-PCR法、ウェスタンブロット法)で解析した。その結果PTHが上昇すると肺高血圧が悪化し、PTHが低下すると改善することが分かった。また細胞実験では、PTHがヒト肺動脈平滑筋細胞の増殖作用を有していることや細胞内シグナルの解析を行った。以上の結果から得られた知見は、2021年度の複数の学会で発表 を行った。
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