2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating disease spectrum associated with pulmonary stem-cell dysfunction
Project/Area Number |
19K17657
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
山本 佑樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 展開医療研究部, 研究員 (10812133)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 肺胞 / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の幹細胞生物学の進歩により、肺においても組織幹細胞が疾患の病態形成などに大きな役割を持つことが分かってきた。特に肺胞幹細胞であるⅡ型肺胞上皮細胞の機能異常は、肺癌、肺気腫、肺線維症などの呼吸器領域において致死性の高い疾患との関連性が、動物モデルにおいて指摘されている。本研究では、臨床検体組織を用いた検討・解析により、こうした病態における肺胞幹細胞の挙動の一端を解明することを目的としている。またこれらの疾患が、肺胞幹細胞機能異常を共通のメカニズムとして持つ場合、新たな疾患概念の提唱につながる可能性があると考えられる。 本年度は、まずこうした肺胞幹細胞の機能異常が病態に関連するとされる疾患の臨床検体を検討に用いるための研究体制の構築を行った。幹細胞マーカーの評価などを行うことを目的に、特に肺癌の手術検体を中心に20症例を得ることができた。これらの検体につき、非癌部と癌部を分けて解析用の切片を作成することができた。これら肺癌患者には肺気腫・肺線維症の合併例も含まれており、背景肺と肺癌部分を対比して解析することが出来るため、肺胞幹細胞機能異常を軸とした疾患の連続性を考察するうえで、大変重要と考えられる。これら、臨床サンプルを用いて、肺胞幹細胞に特徴的なサーファクタント蛋白、NKX2-1などの主要転写因子群、また代表者がiPS細胞を用いた先行研究で同定された肺胞幹細胞の分化に関連する遺伝子群における免疫染色の検討を進めており、重要な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画として、まず肺癌、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患の手術検体を解析する体制の構築を行い、臨床検体収集を開始することにあった。その結果、目標としていた20例の肺癌患者の外科的切除検体を得ることができた。これらの患者には、間質性肺炎や慢性閉塞性肺疾患を合併している患者もおり、手術検体を非癌部と癌部に分けて切片化することで、背景肺の解析を行うことも可能となった。また、既に免疫染色のデータ取得も開始しており、一部肺胞幹細胞マーカーにて興味深い結果が得られた。 予定していたRNA-seqによる解析については、現在臨床検体からの細胞回収方法につき検討中であり未施行であるが、方法論が確立し次第解析開始する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果として、臨床検体の解析体制の構築および実際の臨床検体の収集および解析用に切片作成も完了している。今後は、解析を予定している主要肺胞幹細胞マーカーの免疫染色を中心とした解析を進めるとともに、RNA-seqによる網羅的な解析にて疾患と肺胞幹細胞異常の関連性について検討を進める。
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Causes of Carryover |
RNA-seqによる網羅的遺伝子解析を予定していたが、手術検体の免疫染色などの解析を優先したため、行わなかった。このため次年度使用額と良く年度分を併せてRNA-seqなどの遺伝子発現解析を行う計画である。
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