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2020 Fiscal Year Research-status Report

気管支喘息の新たな治療標的としてのプロトン感知性受容体TDAG8

Research Project

Project/Area Number 19K17901
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

鶴巻 寛朗  群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (40781331)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
KeywordsTDAG8 / プロトン感知性受容体 / 気管支喘息
Outline of Annual Research Achievements

本研究はマウス、細胞、気管支喘息(BA)患者検体を用いて、プロトン感知性受容体の一つであるT-cell death-associated gene 8(TDAG8)がBAに関与する機序を解析し、BAの新たな治療標的としてのTDAG8の可能性を明確にすることを目的としている。①ハウスダスト点鼻BAモデルマウス(HDM-BAマウス)におけるTDAG8の機能を明らかにすること、②気道上皮細胞の粘液産生におけるTDAG8の機能を明らかにすること、③血中TDAG8発現とBA患者における症状、重症度、治療効果、増悪との関連性を明らかにすることを予定していた。
2019年度は、HDM-BAマウスにおいて、TDAG8遺伝子改変マウスと野生型マウスの比較を行った。また、BA患者の血中TDAG8発現と症状および重症度との関連性を解析した。血中TDAG8発現は、気管支喘息の症状スコアであるAsthma control test(ACT)と負の相関を示すことを明らかにした。当初は2020年度に予定していた気道上皮細胞の粘液産生におけるTDAG8の関与を明らかにする実験を並行して行った。気道上皮細胞株においては、培養液が低pH環境の場合にPhorbol Myristate Acetate(PMA)刺激によるMUC5AC産生は亢進した。また、この現象はTDAG8をノックダウンすることで抑制された。
2020年は血中TDAG8発現とBA患者における病勢の増悪との関連性を評価した。血中TDAG8は過去の増悪を経験しなかった群では増悪を経験した群と比較して有意に高かった。また、細胞実験においては、気道上皮細胞においてPMA刺激により産生されたMUC5ACは、TDAG8-cAMPのシグナルに関与していることを証明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

倫理審査委員会の承認を得たうえでBA患者80例の臨床情報および血液検体を収集した。これまでの中間解析では、BA症例の年齢の中央値は67.5歳、男性の割合は45.7%であり、the Global Initiative for asthma(GINA)による治療step2、3、4、5の割合はそれぞれ6.5%、39.1%、21.7%、32.6%であった。TDAG8 mRNAは症状スコアであるAsthma control test(ACT)と負の相関を示した。また、過去1年間に増悪を経験しなかった群では経験した群と比較してTDAG8発現が有意に高値であった。
更に気道上皮細胞の粘液産生におけるTDAG8の関与を明らかにするための研究を行った。気道上皮細胞株であるNCI-H292細胞株をpH6~7に調整したRPMI1640培養液中で培養し、Phorbol Myristate Acetate(PMA)で刺激を加えたところ、pH7.4と比較してpH6.6ではMAC5AC発現が上昇した。siRNAを用いてTDAG8ノックダウンさせた細胞株では、コントロールの細胞株と比較してpH6.6で上昇したMUC5AC発現が抑制された。TDAG8のMAC5AC産生経路における作用を明確にするために、TDAG8をノックダウンした細胞株をPMAおよびcAMP産生を促進するフォルスコリンで刺激したところ、抑制されたMUC5AC発現が部分的に解除された。
当初、気道上皮細胞における実験を更に進め、HDM-BAモデルを野生型マウスとTDAG8遺伝子改変マウスを用いて肺胞洗浄液のおける細胞分画やサイトカイン量の測定および肺の組織学的検討と解析を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大による緊急事態宣言により学術機関において基礎実験が制限されたため、これらの実験を進めることができなかった。

Strategy for Future Research Activity

学術機関における基礎実験および動物実験の制限については、完全には解除されていない状態である。そこで、本研究課題について1年間の延長申請を行った。
今後の研究の推進方策として、現在までに集積した実験データの解析を行うこと、臨床検体の収集を進めることとこれまでに集積した臨床データの解析を優先して行う。また、基礎実験及び動物実験に対する制限の状況によりこれらの研究計画を順次調整して行っていく。

Causes of Carryover

2020年度に行った生物資源センター使用料金を2021年に支払う予定であること、COVID-19拡大に伴う基礎実験の制限によりマウス実験および細胞実験に一部遅延が生じているため、使用する予定であった消耗品である試薬とプラスチック製品、サイトカインのELISAキット、RT-PCRおよびreal time PCRの試薬と各種抗体が未購入であることから、予算を大幅に下回っている状況である。今後、これらの支払いと当初は2020年度に購入を予定していた試薬を購入して、実験を進める。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results)

  • [Journal Article] 気管支喘息の新たな治療標的としてのプロトン感知性受容体について2020

    • Author(s)
      鶴巻寛朗、齋藤悠、久田剛志
    • Journal Title

      アレルギーの臨床

      Volume: 40 Pages: 32-35

  • [Presentation] T-cell death-associated gene 8 is a new biomarker for the severity and the exacerbation in bronchial asthma2020

    • Author(s)
      Hiroaki Tsurumaki
    • Organizer
      JSA/WAO Joint Congress 2020
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 気管支喘息における新規バイオマーカーとしてのT-Cell death-associated gene82020

    • Author(s)
      鶴巻寛朗
    • Organizer
      第60回日本呼吸器学会学術講演会
  • [Presentation] The therapeutic effect of Mepolizumab on eosinophilic polyangiitis granulomatosis2020

    • Author(s)
      Hiroaki Tsurumaki
    • Organizer
      29th Congress of Interasma Japan and North Asia
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 気管支サーモプラスティ後に生物学的製剤の追加または変更を要した症例の検討2020

    • Author(s)
      鶴巻寛朗
    • Organizer
      第43回 日本呼吸器内視鏡学会学術集会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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