2019 Fiscal Year Research-status Report
VEGF-Rがもたらす大腸がんの多様性:血管新生阻害薬抵抗性メカニズムの解明
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19K18135
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
冨田 知里 東京家政大学, 家政学部, 期限付助教 (60827385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | VEGF受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでがん細胞のVEGF自己分泌に着目しVEGF阻害薬はがん細胞に直接的な影響を及ぼすという視点で研究を行っており、すでに種々のVEGF受容体マルチキナーゼ分子標的阻害薬(Sunitinib、Foretinib、Regorafenib)やVEGF受容体ファミリー(VEGF受容体1~3)に対する阻害剤が大腸がん細胞に直接作用し、遊走能・浸潤能を亢進させることを明らかにしている。本研究では、大腸がん細胞に発現するVEGF受容体ファミリーが遊走能・浸潤能の獲得の際それぞれどのように関与しているのか明らかにし、大腸がん細胞におけるVEGF受容体の本質的な存在意義を解明することを目的とする。 本年度はまず、大腸がん細胞のVEGF受容体の免疫染色を行い、VEGF受容体の1と3が細胞膜表面上に存在していることを見出した。VEGF受容体の1に対する特異的阻害剤を用いたところ遊走能および浸潤能が亢進したが、受容体の3に対する特異的阻害剤を用いたところ遊走能および浸潤能が抑制されることを明らかにした。VEGF受容体3の個別阻害が遊走能・浸潤能抑制に効果があることが示唆された。さらに、遊走がみられる大腸がん細胞を染色するプロトコルを確立し受容体を染色したところ、活発に遊走している箇所とそうでない箇所で染色像が異なる傾向を見出した。 VEGF受容体と遊走能獲得の関係についてさらなる解析を進めるため、膜表面上の受容体の発現ごとに細胞を分離するシステムの確立を試みている。分離処理後の細胞が再び培養可能であることは確認しており、現在は処理後の細胞が正しく分別できているか簡便かつ迅速に確認できる方法の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細胞を分離するシステムにおいて、処理後の細胞の分離状態を確認するプロトコルの確立に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞を受容体の発現ごとに分離するシステムを確立させ、分離した細胞ごとの遊走能及び浸潤能の測定、EMT(上皮-間葉転換)関連因子について解析を行う。また、令和2年度の推進方策については予定通り実施する。
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Causes of Carryover |
細胞分離システム構築後に実施予定の遊走能・浸潤能の測定、EMT関連因子の解析を実施できなかったため、次年度使用額が発生した。これらの実験は令和2年度に実施予定であり、必要な試薬の購入に充てる。
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