2020 Fiscal Year Research-status Report
近交系化卵巣明細胞がんモデルマウスの確立と宿主免疫応答の解析
Project/Area Number |
19K18684
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
村上 幸祐 近畿大学, 医学部, 講師 (60734671)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 卵巣明細胞癌 / マウスモデル / 腫瘍免疫 / IL-6 / PD-L1 / 近交系マウス / 卵巣がん |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、近交系ARID1A-PIK3CA共変異マウスを確立するために以前より進めていた、C57BL/6マウスの戻し交配が終了し、腫瘍免疫の解析に主軸をうつして研究を行った。具体的には、2019年度末の時点で、Cre/loxPシステムを用いたコンディショナルなARID1A-PIK3CA変異を有する第7世代のC57BL/6マウスの出生が終わっていたため、そこからさらに交配を進め、当初の計画通り、第8世代の近交系ARID1A-PIK3CA共変異マウスが出生した。さらに第8世代の個体同士を交配させ、ARID1A-PIK3CA変異ともにhomo化し、現在、個体数を確保するため交配を繰り返しているところである。また、発癌の確認実験として、第4世代同士を交配させ、ARID1A-PIK3CA変異をhomo化させたマウスの作成を行った。マウスを開腹し、拡大鏡下に卵巣にCre発現アデノウイルスを投与したところ、7週の経過で腹膜播種および腹水貯留を伴う発癌を認めた。なお、この現象は複数の個体で再現性を持って確認できた。腫瘍を摘出し、ヘマトキシリン・エオジン染色を行ったところ、ヒト卵巣明細胞癌の形態に類似したhobnail様の細胞を認めた。さらに、卵巣へCre発現アデノウイルスウイルスの投与を行ってから4週間後より、抗IL-6抗体、抗PD-L1抗体を腹腔内投与したところ、コントロール発癌群と比較して、明らかに発生した腫瘍の量が少なく、腹水貯留も少なかったため、これらの抗体が抗腫瘍効果を示していると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は当初の予定通り、発癌が確認でき、プレリミナリーではあるが抗体薬投与による抗腫瘍効果も確認できたため、概ね順調に進行できていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
近交系化が完成した第8世代のマウスで発癌させ、腫瘍の免疫染色を行いヒト卵巣明細胞癌との相同性を調べるとともに、腫瘍へのPD-L1の発現について検討する。また、コントロール抗体、抗IL-6抗体、抗IL-6R抗体、抗PD-L1抗体の単独投与および併用投与により、どのような抗腫瘍効果が発揮されるのかを確認する。また免疫担当細胞やサイトカインの変化について、フローサイトメトリーで解析する。また、癌細胞を株化し、免疫不全マウスの皮下に投与して皮下腫瘍を発生させ、そこに抗体を投与することで、免疫を介した抗腫瘍効果であることを確認する。
|
Research Products
(1 results)