2019 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞からの前顆粒膜細胞の誘導 -体外培養系での卵子獲得を目指して-
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19K18692
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宮崎 有美子 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 医員 (10808710)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 顆粒膜細胞 / SF-1 / WT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
中胚葉から副腎や性腺への分化過程において、Wilms Tumor 1(以下WT1)やSteroid Factor-1(以下SF-1)といった転写因子が重要な役割を担うと推測されている。中胚葉から副腎や精巣への分化メカニズムは、多くの研究知見が集積されつつある一方で、中胚葉から卵巣とくに顆粒膜細胞が分化発生するメカニズムは、未だ明らかでない。 我々は、間葉系幹細胞の表面マーカーを標識にcell sortingし、 ヒト羊膜由来の間葉系幹細胞(hAMMSC)を分離・培養した。hAMMSCにアデノウイルスベクターを用いてSF-1遺伝子を導入したところ、hAMMSC がステロイドホルモン関連酵素の遺伝子を複数発現する細胞に機能分化した。しかし、顆粒膜細胞に特異的なFSH受容体やアロマターゼ(CYP 19A1)の発現は確認できなかった。次に、hAMMSCにレンチウイルスベクターを用いてWT1遺伝子を導入したところ、SF-1と同様、hAMMSCはステロイドホルモン関連酵素の遺伝子を複数発現する細胞に分化した。興味深いことに、WT-1は、CYP19A1 mRNA発現も増加させた。CYP19A1のプロモータを用いたルシフェラーゼレポーターアッセイにより、WT1はCYP19A1のプロモータ転写活性を上昇させた。一方で、他のステロイド関連酵素のプロモータの転写活性には影響を与えなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト羊膜細胞から間葉系幹細胞を分離し、ステロイド産生細胞を分化誘導する系を確立した。同細胞を用いて、ステロイド関連酵素の発現解析や各遺伝子のプロモータ解析を安定して行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
WT1の4種のアイソフォーム(エクソン5の有無、エクソン9の3アミノ酸KTSの有無により生じる)をそれぞれhAMMSCに遺伝子導入し、ステロイド関連酵素の遺伝子発現変化を解析する。更に、ヒト線維芽細胞にWT-1遺伝子を導入した場合の遺伝子発現変化を解析し、hAMMSCの場合と比較することで、WT-1が卵巣発生に与える影響を検討する。
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Causes of Carryover |
共同研究者より実験に必要な試薬、ベクターを分与いただき経費が削減できた。次年度使用額を用いて、間葉系幹細胞から誘導したステロイド産生細胞のアロマターゼ発現やエストロゲン産生能をウエスタンブロットやELISAで検討する予定である。
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