2019 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎におけるPD-1/PD-L1機構の関与解明:遺伝子治療の基盤構築を目指して
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19K19036
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
今村 健太郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60755007)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PD-1/PD-L1機構 / 歯周病原細菌 / 絹糸結紮歯周炎モデルマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病原細菌は,様々な方法で宿主の免疫応答から逃れ,病原性を発揮する事が知られている。これまで我々はPorphyromonas gingivalis が宿主細胞に侵入し,免疫応答を回避するメカニズムについて研究を進めてきた。 近年,がん免疫においてプログラム細胞死-1 (programmed death-1, PD-1) /PD-リガンド-1 (programmed death ligand-1, PD-L1) 経路が,T細胞の機能抑制に重要な役割を果たしている事が注目されている。抗PD-L1抗体はがんの治療薬として,現在臨床試験が行われる段階まで研究が進んでいる。歯周病学の分野では,中等度歯周炎患者においてPD-L1の発現が上昇しているという報告はあるが,その詳細なメカニズムに関する基礎研究は行われていない。そこで本申請研究では,P. gingivalis の歯周炎局所におけるPD-1/PD-L1発現調整機構への関与を解明し,さらにPD-1/PD-L1経路遮断による歯周組織破壊への影響を検討する事を目的とする。 ヒト歯肉上皮細胞(Ca9-22)にPorphyromonas gingivalis ATCC 33277を12時間感染させ,PD-L1遺伝子発現量の変化をqRT-PCRによって測定した。全身麻酔下において,マウス上顎第2臼歯に絹糸(6-0)を結紮し,実験的歯周炎を惹起させた。処置後5日目に絹糸周囲の歯肉組織を採取し, PD-L1の遺伝子発現変化を健常側と比較した。さらに,眼窩より採血を行い,血中濃度の変化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroでのP. gingivalis 感染は,Ca9-22におけるPD-L1の遺伝子発現量を約5倍上昇させた(P<0.05)。また,絹糸結紮歯周炎モデルマウスにおいて,絹糸結紮周囲の歯肉では,健常側と比較して約7倍のPD-L1遺伝子発現の上昇(P<0.05)を認めたが,血中におけるPD-L1発現の変化は認められなかった。 破骨細胞分化マーカー(Cat-k, C-fms)の遺伝子発現量はPD-L1(10 ng/ml)投与により上昇した。TRAP染色による破骨細胞様細胞の観察においても同様の傾向が示された。 実験的歯周炎の局所ではPD-1/PD-L1機構を介して,破骨細胞分化に影響を及ぼす可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,歯周病原細菌に感染した上皮細胞とT細胞の相互作用におけるPD-1/PD-L1機構の関与を検討し,詳細なメカニズムを明らかにしていく計画である。 具体的には,上皮細胞にP.gingivalis を感染させることによりPD-L1を発現を誘発する。その後,T細胞と共培養させ,T細胞の挙動を調査し,そのメカニズムの検討を行っていく。
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