2019 Fiscal Year Research-status Report
腸内エコシステムの観点からのフレイルの病態理解と早期バイオマーカーの探索
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19K19128
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
徳本 佳奈 岡山大学, 大学病院, 医員 (40837126)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 要介護高齢者 / フレイル / 口腔内細菌叢 / 腸内エコシステム / 16SrRNA解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、要介護高齢者を対象に糞便と唾液の採取を行い、栄養状態の変化と腸内および口腔内細菌叢との関連を前向きに調査する。 本年度は、倫理審査委員会に研究計画書を提出し、承認を得た。研究協力を得た老人保健施設に入所している要介護高齢者から,低栄養高齢者(BMI<18.5)および対照群として栄養良好高齢者(BMI≧18.5)の抽出を行った。 低栄養高齢者9名、栄養良好高齢者11名に対して、あらかじめ作成していた臨床診査プロトコールに従い、ベースラインデータを収集した。低栄養群9名は、平均年齢88.78±5.92歳、男性1名、女性8名、平均BMI値は16.64±1.57で、常食1名、きざみ食6名、ミキサー食1名、ゼリー・ムース食1名であった。一方、栄養良好群13名はすべて女性で、平均年齢87.98±6.98歳、平均BMI値は21.76±3.12で、常食5名、きざみ食2名、ミキサー食2名、ゼリー・ムース食1名、経管栄養2名であった。低栄養群および栄養良好群に対して、ベースライン時、6ヶ月後、12ヶ月後に糞便と唾液の採取を行うこととした。 自然唾液および便を採取するための採取キットの準備を行い、検体採取プロトコールを作成し、両群22名の検体を採得した。得られた臨床検体は、細菌叢構成の維持のため迅速に嫌気パックを行い、グリセロール・ストックによる凍結保存を行った。自然唾液の採取は朝食後2時間経過後、口腔ケアからも2時間経過後に統一した。現在は,次世代シークエンサーを用いた16SrRNA解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究計画の倫理委員会承認を得ること、対象者を抽出し、臨床診査および検体採取を行う計画であった。 予定通り対象者22名を抽出し、臨床診査を達成している。現在は、全対象の検体を採取し16SrRNA解析を行っており、順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1.次世代シークエンサーを用いた16SrRNA解析にて解析した結果を基に、細菌叢系統的比較解析(UniFrac法)を行い、低栄養高齢者と栄養良好高齢者の腸内細菌叢構成の差異(UniFrac距離)を確認する。さらに、細菌叢を構成する各属、各門の構成比率を算出し、低栄養高齢者の腸内細菌叢に有意に、より優勢な菌属を明らかにする。 2.低栄養/栄養良好高齢者を追跡し、自然唾液および便を採取し、臨床診査を行う。そして、1と同様の方法で口腔内・腸内細菌叢の解析を行い、経時的変化を把握する。
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Causes of Carryover |
対象者の検体採取に予定より時間を要したため、今年度行う予定であった細菌叢系統的比較解析を行うための経費を次年度に使用することとなった。今後、検体の細菌叢系統的比較解析を行なう際の経費として使用する。
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