2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K19132
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
古藤 航 九州大学, 大学病院, 助教 (00823220)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / 再生医療 / エナメル質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は人に極めて近いとされるブタ下顎骨から智歯歯胚を採取し歯胚上皮細胞(DEC)および歯胚間葉細胞(DMC)を単離し継代培養を行った。磁性ナノ粒子(MNP)に関してDECおよびDMCに対する細胞毒性をMTS試験によって評価した. MTS試験の結果, MNPは50~300 pg-magnetite/cellの濃度範囲においてDEC, DMCともに生細胞の代謝産物の吸光度に有意差は認めなかった. つまりMNPの各添加濃度において歯胚細胞の生細胞数に有意差は認めなかった. ( p > 0.05, ANOVA) またMNPおよび磁力の負荷によるDECのエナメルマトリックスタンパク発現への影響に関して免疫蛍光染色を用いて検討したところ, MNPの添加および磁力の負荷を行った群はコントロール群と比較してAmeloblastin(AMBN)タンパクの発現が増強していることを確認した。 次にDEC, DMCそれぞれに関して細胞シートを作製するための条件について検討した。細胞シート作製に先立ち歯胚細胞内でのMNPの局在をTEMを用いて観察したところMNPは歯胚細胞の細胞質中に確認された。 細胞シートを作製する条件として播種細胞数, MNPの添加濃度, 磁石の形状, 磁力および磁力の負荷時間に関して検討を行った。検討の結果, DEC, DMCともに播種細胞数は2×106 個/well, 添加濃度は100 pg-magnetite/cell, 磁石の形状は円形で直径 25 mm, 磁力 4110 Gを用いて37℃下にて24時間磁力を付加すると直径8 mm, 厚さ約20μmの密な多層構造を示した細胞シート構造を示した。また低接着表面細胞培養プレートを使用することで細胞シートはその構造を破壊することなく剥離可能であった。このことよりDEC, DMCにおいてMNPおよび磁力を用いることで操作可能な強度を持った細胞シートを作製できることを確認できたため今後さらに改良を加え移植体への加工も可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブタ歯胚上皮細胞の初代細胞の培養および継代は困難であり十分な細胞量を確保することに時間を要した。また細胞シートを作製する上で最適な条件の検討に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は歯胚上皮細胞と歯胚間葉細胞の積層化したシートを作製し発生期の歯胚の状態をin vitroにて再現する。また細胞シートを積層化した際の歯胚細胞特異的な遺伝子・蛋白の発現を解析する。
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Causes of Carryover |
本年度の実験に遅れを生じているため。また感染症の拡大により参加予定であった学会に参加できなかったため。
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