2020 Fiscal Year Annual Research Report
G-CSF投与による骨リモデリング微小環境の破綻モデルの解析
Project/Area Number |
19K19182
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
上田 美帆 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10774391)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 顆粒球コロニー刺激因子 / 骨リモデリング微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】骨リモデリングにおいて,破骨細胞の分化抑制や骨細胞のネットワークが接続不良を起こした環境は,骨リモデリング微小環境が破綻した状態であり,一連の過程はまだ不明な点が多い.顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-colony stimulating factor: G-CSF)を投与すると,骨芽細胞や骨細胞は抑制され,造血幹細胞が微小環境に留まるサポートシステムが減弱し,造血幹細胞は血液中に放出され,骨リモデリング微小環境が破綻する.この微小環境破綻モデルを再現・解析し,骨性治癒への影響を検討した. 【材料および方法】6週齢の雄性のC57BL/6JマウスにG-CSF(125μg/kg/回)を12時間毎に皮下注射にて4日間投与した.G-CSF投与群と対照群の採血を行い,白血球数を測定した.また,大腿骨を採取後,μCT撮影を行い,骨形態計測により評価した.骨端部のHE,TRAP,AgNOR染色を行い,破骨細胞,骨細胞を観察した.さらに,同マウスで上顎片側臼歯の抜歯を行い,G-CSF投与群と対照群の抜歯窩を含めた顎骨を採取し,HE,TRAP,AgNOR染色を行い,骨性治癒のへの影響を病理組織学的に評価した. 【結果】白血球数は,G-CSF投与群で対照群と比較し有意に増加していた.G-CSF投与群の大腿骨は対照群に比べ,骨量,骨梁数が有意に減少し,骨梁間隙が有意に増加していた.また,G-CSF投与群は対照群に比べ,抜歯窩の骨性治癒が遷延していた.抜歯窩周囲の顎骨および大腿骨の破骨細胞数は,G-CSF投与群で減少を認め,骨細管数も減少を認めた. 【結論】G-CSF投与により骨細管数が減少し,骨細管ネットワークの阻害により,骨細胞からの破骨細胞の分化誘導が阻害された.その結果,低骨代謝回転の骨リモデリング微小環境となり,抜歯窩の骨性治癒が遅延したと考えられた.
|
Research Products
(1 results)