2019 Fiscal Year Annual Research Report
エビデンスを備えた口腔ケアの新展開-フゾバクテリウムが及ぼす口腔癌病態への影響-
Project/Area Number |
19K19315
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤原 奈津美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50596913)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Fusobacterium nucleatum / 口腔癌 / partial EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎える我が国では、口腔ケアは齲蝕や歯周病の予防のみならず、齲蝕・歯周病原因菌が及ぼす様々な全身疾患への影響が着目され、その必要性が高まっている。最近、歯周病原因菌であるFusobacterium nucleatum(Fn)がFadAやFap2などのアドヘジンを介して大腸癌の発生や増殖に関わることが報告された。口腔癌組織においても次世代シーケンサーを用いた細菌叢解析によりFnの占有率が高いことが示されているにも関わらず、Fnが口腔癌の発生や進展に及ぼす影響は未だ報告されていない。 癌の進展には上皮間葉移行(epithelial mesenchymal transition: EMT)が、癌の浸潤・転移や治療抵抗性を介して関与することがよく知られているが、最近、上皮の性質を部分的に残して間葉の性質を部分的に併せ持つpartial-EMTが、より悪性度に関連することが報告された。そこで、本研究ではFnの口腔癌細胞に対する形態変化、増殖、さらにEMT、partial-EMT、および上皮性分化に関連する遺伝子群の発現解析をreal-time PCRにて検討した。口腔癌細胞株であるHOC313およびHOC621細胞に対して、Fnの標準株である JCM8532およびATCC10953を添加し、96時間共培養した。共培養後に口腔癌細胞をFnから分離し、形態変化・増殖・遺伝子発現を検討した。Fnとの共培養後、口腔癌細胞の形態的変化・増殖において顕著な変化が見られなかった。共培養した口腔癌細胞は、Fnが暴露されていない口腔癌細胞よりもEMTやpartial-EMT関連遺伝子の発現の亢進が認められた。したがって、Fnの暴露は口腔癌細胞のEMTやpartial-EMTを誘導し、悪性度に寄与することが考えられた。
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Research Products
(7 results)