2022 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスを備えた口腔ケアの新展開-フゾバクテリウムが及ぼす口腔癌病態への影響-
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19K19315
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
藤原 奈津美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (50596913)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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Keywords | Fusobacterium / 口腔癌 / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、歯周病原因菌であるFusobacterium nucleatumが大腸癌の発生や進展に関わることが報告され注目されている。口腔癌組織においても次世代シーケンサーを用いた細菌叢解析によりF. nucleatumの占有率が高いことが示されているにも関わらず、F. nucleatumが口腔癌の発生や進展に及ぼす影響は未だ報告されていない。本研究では、口腔癌患者の腫瘍部位より細菌を採取し、細菌叢の解析を行うとともに、F. nucleatumを分離し、in vitroで口腔癌細胞と共培養することで増殖や走化能に対する影響や遺伝子発現解析を行い、対照群である健常者群との比較を行うことを目的としている。 今年度は、口腔外科に受診した口腔癌患者に十分な説明と同意を得たうえで、被験者としての協力を要請し、臨床分離株の採取を実施した。スワブ法により被験者の健常部、腫瘍部表面に付着している細菌を採取した。腫瘍摘出時に、腫瘍深部の細菌採取も行った。また、被験者の残存歯数、義歯使用、舌苔付着評価、口腔衛生状態の評価を基礎資料として調査した。Fusobacterium属の分離・同定方法を確立し、現在までに5人のサンプリングを終えた。一部の被験者からFusobacteirum属が検出され、また腫瘍深部からも検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一定のサンプル量を集積するのに少々時間を要している。そのため、本年度は臨床検体(スワブで採取したサンプル)の細菌叢解析まで実施する予定だったが実施されていないため、次年度より鋭意実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床分離株のサンプリング集積を継続するとともに、細菌叢解析を鋭意実施する。 口腔癌患者および健常者から分離したF. nucleatumにおいて、大腸癌の発生・進展に関与することが報告されているFadAおよびFap2の遺伝子発現をReal-time PCRにより検討する。 これまでに研究代表者は、F. nucleatumと口腔癌細胞を共培養すると、上皮の性質を呈した癌細胞がpartial-EMTを惹起し浸潤能を高めることを報告してきた(Sci.Rep., 2021)。臨床分離したF. nucleatumと口腔癌細胞を共培養することで同様の現象が観察できるのかの検証も併せて行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
口腔癌患者からの臨床検体採取の遅滞によるものである。 その点以外にはほぼ計画通りに研究費予算の使用を行なっている。 翌年度分として請求した研究費をあわせて、次年度からは次世代シーケンサーでの細菌叢解析等を実施するので、その費用に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)