2020 Fiscal Year Research-status Report
NDB(レセプトデータ)を用いた難病患者の疫学調査の手法開発と治療実態の把握
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19K19464
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
久保 慎一郎 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 技師 (20833809)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NDB / レセプト / 難病 / 医療費 / 公費 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の保健医療分野のデータベース(DB)は、政府主導でDB間の連携等が推進されている。国が有する各種DBの中でも、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)は我が国の保険診療の悉皆調査であり、世界最大級のヘルスデータである。令和2年度は、NDBにおける課題である患者IDの名寄せ技術の向上による333疾患への効果と公費負担の医療費シミュレーションを行った。NDBにおいて、名寄せの技術がより精緻化され、新しい患者ID(ID0v2)が開発された。この影響を見るため、指定難病(現時点では333疾患)について、再度NDB集計を行った。ID0v2による患者数とID0による患者数の差は概ね±10%に収まっているが、ID0v2の方が過大評価になる疾患と、過小評価になる疾患があった。難病患者における医療費の検討を実施した。難病加算の算定されているレセプトについて、患者(id0)ごと・診療月ごとに、医科レセプト・DPCレセプト・調剤レセプトの点数を合計し、70歳以上と70歳未満の医療費分布から、階層区分ごとの人数割合別に公費の推計を行った。 仮説として、一つ目は、難病に係る医療費は、患者の所得区分とは独立に決まること。二つ目は難病患者の階層区分ごと人数の割合は、難病加算が算定されたレセプトに記載されている区ア~オと同じであること。これらを検証したが、NDBから推計した年間公費総額は実績値を下回る結果となった。階層区分の分布についての影響を見るために、特記区分にア~オ以外が記載されていた場合は、「一般」(区エ)とした場合についても公費の推計を行ったが、大きく変化しなかった。 これにより何らかの理由で取りこぼしが発生しているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の課題であった小児の世代を克服した新たなIDを作成し、難病患者の精緻化を進めることができた。医療費については公費負担の区分がレセプトデータで提供されれば、より精緻な結果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、難病患者における副作用の検出を行い、いくつかの難病に絞って副作用が発生したと判断できる指標の作成とその集計を作成予定である。これにより新たなアウトカムの構築につながり、よりレセプト分析が進むものと考えられる。
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