2019 Fiscal Year Research-status Report
乳がん放射線照射部位の皮膚バリア機能と洗浄効果を高めるスキンセルフケア方法の確立
Project/Area Number |
19K19591
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
宮前 奈央 兵庫医療大学, 看護学部, 助教 (50811668)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スキンケア / 洗浄方法 / 放射線照射部位 |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線皮膚炎の予防ケアとして、照射野の皮膚を低刺激の洗浄剤を用いて微温湯で洗浄することが勧められているが、どの程度の圧で洗うかといった具体的な手技は定められておらず、洗浄効果は明らかとなっていない。皮膚バリア機能の低下を防ぐためにも照射部位の清潔を保持する必要がある。また乳がん術後照射は外来通院で行うことが多いため、患者自身が具体的な洗浄方法を知り実施することで、セルフケア能力の向上にもつながる。そこで本研究は、乳がん術後の放射線照射部位の皮膚バリア機能を維持向上させつつ、皮膚に付着した汚れを確実に除去するためのスキンセルフケアの技術を確立することを目的とした。第1段階として照射部位に適した洗浄方法を明らかにするため実験研究を行い、その後その洗浄方法を用いて介入研究を行うこととした。 2020年2~3月に成人女性15名を対象に実験研究を行った。照射部位の皮膚を想定しているため、軟膏や保湿剤が付着した皮膚を愛護的に洗浄するという状況を設定した。3通りの洗浄方法を実施し、親水クリームと蛍光塗料を混ぜた疑似汚れの落ち具合、皮膚バリア機能の変化、皮膚色の変化を比較するためデータ収集を行った。洗浄時にこする圧は皮膚・排泄ケア認定看護師5名の愛護的な洗浄方法をもとに、20mmHgを超えない圧とした。今回の結果は放射線照射部位の洗浄のみならず、褥瘡周囲やスキンテア部分など、軟膏類が塗布されており、愛護的な洗浄が必要な部位の洗浄にも活用できると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は放射線照射部位に適した洗浄方法を明らかにするため、実験研究を計画した。終了時点の進捗状況として、データ収集、分析が終了し、介入研究に用いる洗浄方法が決定しているため研究は順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
放射線照射部位に適した洗浄方法を実施することによる皮膚バリア機能、皮膚状態への影響を評価するため、放射線治療実施施設で介入研究を行う。データ収集期間は2020年10月~2021年3月を予定しているが、コロナウィルスの動向によってはデータ収集に遅れが生じることが予想される。
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Causes of Carryover |
当初は大腸菌を用いて洗浄効果を比較することを計画していたが、蛍光塗料に変更して実施したため、計測機器の購入が必要なくなったことにより次年度使用額が生じた。今年度の研究成果を国際学会で発表することを使用計画に含める。
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