2020 Fiscal Year Research-status Report
最先端技術による看護ロボット開発に向けた看護師―高齢者/認知症患者の相互作用分析
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19K19735
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
飯藤 大和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (60723921)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視線解析 / 音声解析 / コミュニケーション / 看護 / ロボット / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、視線解析と音声解析技術を用いた看護師(看護ロボット)、高齢者もしくは認知症患者との相互作用時の特徴分析を行うことである。昨年度までに視線解析装置を準備して視線計測に必要なプログラムを作成し、複数名の視線情報を収集した。また、音声についてはデシベルおよび周波数の情報を収集し、対象者の感情がどのような部分に現れるのかについて分析手法の確立を行った。 本年度の目標は、その解析手法を用いて若年者(大学生)のコミュニケーションの特徴を情報収集すること、卓越したコミュニケーションスキルを持つ看護師の特徴を分析することであった。 しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により人を対象とした実験が速やかに行うことができない状況が続いた。そこで、本年度では視線及び言語的コミュニケーション、非言語的コミュニケーションが看護場面に与える影響について文献を用いたシステマティックレビューを行うこととした。 英文を含めた主要な論文を分析した結果、視線と音声によるコミュニケーションに影響を与える重要な要素は「集中治療時の注意深いコミュニケーションの必要性」、「看護師のコミュニケーション能力の明確化」、「高度な技術を用いたデバイスによるコミュニケーションの円滑化」および「共通言語を用いたコミュニケーションの重要性」があげられた。これらの成果は国際学会であるThe 15th NLPKE(Natural Language Processing and Knowledge Engineering)2020で口頭発表した。さらに英語論文を執筆しInternational Journal of Advanced Intelligence (IJAI)に掲載された。 本年度の成果は、今後の大学生や卓越した技術を持つ看護師からの情報収集の際に、視線および音声の変化が起こりうる着目場面として有意義な情報であると考えられる。次年度では、感染拡大の状況を踏まえながら実際に人対人の情報収集を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、必要な視線解析のシステムの導入およびプログラム開発、音声解析プログラムの導入と順調に必要な準備を行うことができた。 そのような中、新型コロナウイルス感染症拡大により、研究機関での実験や情報収集が不可能となった。特に本研究課題は「視線解析と音声解析技術を用いた看護師(看護ロボット)、高齢者もしくは認知症患者との相互作用時の特徴分析」であるため、コミュニケーション場面での実験が必須である。対面での情報収集は政府および所属機関の方針に応じて行う必要があるため今年度は情報収集を自粛した。 加えて高齢者は感染すると重篤化しやすいと言われていることから、高齢者からの情報収集に向けた計画立案も中止している状況である。 次年度からは所属研究機関の指針に則ったうえで、大学生からの情報収集を再開する予定としている。大学生からの情報収集についてはすでに倫理委員会の承認を受けており、実験が可能な状況となればすぐに再開できる状態である。同時進行として、高齢者からの情報収集については倫理委員会に諮り、慎重に検討したうえで開始する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度である2021年度前期では、大学生間のコミュニケーション場面による視線解析と音声解析技術を用いた相互作用時の特徴分析を複数例収集する。研究代表者が所属する研究機関において、実際の病院の病室と同じ環境を用いて、看護師免許を有する看護師役と大学生の患者役により、会話場面を用いて実験を行う。その際に今までに準備している視線解析装置と音声解析プログラムを用いてコミュニケ―ションの特徴を解析する。 2021年度後期では、前期で得られた結果の分析及び考察、論文の執筆を行い、国際学会や雑誌等において幅広く広報する予定である。また、本研究課題の重要なテーマである高齢者とのコミュニケーション場面の情報収集について、研究代表者が所属する機関の倫理審査委員会に計画書を提出し、高齢者からの情報収集の準備を行う。 加えて、現在、経済産業省などの政府機関により積極的に推進されている医療福祉用のロボット開発の一助になるように、大学生や高齢者がロボットとコミュニケーションを図った時の影響について客観的な指標を用いて分析できるように、実験計画及び実験に用いるロボットのレンタルについて同時進行で進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は人対人のコミュニケーション場面の実験が新型コロナウイルス感染症拡大のため実施できなかった。そのため、予定していた実験に必要な消耗品の購入、人件費、協力者への謝金の支払いがなくなった。また、同様に新型コロナウイルス感染症拡大により国内外の学会での発表や情報収集のための参加ができなくなったため、大幅に次年度使用額が生じた。 しかし、これらは実験に必要なものであり、来年度に人対人の実験が再開されれば使用する予定である。情報の収集や成果の公表については、国内外の学会に参加できない状況が続いたとしても、オンライン開催の学会等を活用することによって当初の計画通りに進められるように工夫する予定である。
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Research Products
(2 results)