2023 Fiscal Year Research-status Report
児童や前期高齢者に向けた整理整頓教育プログラムの開発と健康影響への効果評価
Project/Area Number |
19K19771
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Research Institution | Wayo Women's University |
Principal Investigator |
麻生 保子 和洋女子大学, 看護学部, 教授 (80509646)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対象者の意思と価値観の尊重 / 在宅生活の可能性 / 精神状況の評価 / 社会的孤立の有無 / 子供のため込み尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
家屋内の生活時間が長い児童や高齢者は乱雑な住居からの健康影響を受けやすい。筆者は「ため込み予防に向けた地域看護職の役割」について、文献レビューを通して支援方法を整理してきた(Aso,2021)。2023年度は、我が国の新型コロナ感染拡大前後の生涯学習や自己啓発に関する状況を整理するとともに、住居衛生に課題のある療養者を支援する専門職の視点について調査した。 新型コロナ感染症蔓延前後(平成30年と令和4年)の生涯学習状況は、生涯学習をしない理由に、「身近なところに学習する場がない」が7.9から10.6ポイントに、「学習したい内容の講座が開設されていない」が1.3から3.7ポイントに増加していた。この傾向は、特に高齢者に顕著であった(内務省「生涯学習に関する世論調査」)。また、国民生活調査による「自己啓発・能力向上満足度調査」では、調査開始以降「満足」と回答した方は年々増加していたにも拘らず、令和3年は10ポイント下がり、令和5年にあっても、自己啓発・能力向上に関する満足度は低下し続けている(内閣府「国民生活に対する世論調査」)。 上述の住居衛生に極端に課題のある療養者を家庭訪問で支援する保健師、理学療法士、コミュニテーソーシャルワーカー、環境衛生監視員の評価の視点については、職種共通事項として「対象者の価値観や意思を尊重する事」「在宅生活の継続が可能かどうかを見極める事」がある一方、「精神状態の評価」「社会的孤立の有無」「住居内は歩行可能な状態であるか」「物で空気の流れが妨げられていないか」といった観点は職種によって観察の視点に重みづけの相違があった。 その他、既存研究を用いてため込み症への介入研究に関するメタアナリシス及び子供を対象とした「ため込み尺度」に関する文献検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症は2023年5月8日(月)に「5類」に移行し、各地でのイベント等も再開された状況があった。しかし、2023年度の8,9月や2月を中心に大きな感染拡大の波や変異株による拡大もあった。そのため、児童や高齢者を対象とした生涯学習を実施するには慎重に実施する必要があり、対象者特性を考慮すると、Web開催に踏み切れない状況があった。そのため、2023年度は、我が国の新型コロナ感染症拡大前後の生涯学習状況の比較や、極端に住居衛生が悪い方を支援する専門職の評価の視点を調査する事に重点を置いた。
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Strategy for Future Research Activity |
整理整頓教室を行う場合の、高齢者を対象とした、介入効果の評価尺度は既に和訳版が開発されている。昨年度文献検討を行った児童版を和訳し、日本語版Clutter Image Rating自己写真判定表と共に質問表として介入効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:年度途中に新型コロナ感染症は、5類に移行されたが、感染の波は数度となく訪れ、一般市民の日常生活が完全に元に戻るには時間を要する。当初予定していた、日本語版子どものため込み行動評価尺度の開発は、通常の状態での住居衛生に関するストレスを測定する尺度であり、新型コロナ感染拡大の影響を限りなく少なくなるまで待つ必要があった。今後、感染状況に応じて適宜、調査を実施する。 使用計画:日本語版子どものため込み行動評価尺度を開発し、児童と高齢者を対象とした整理整頓教室の実施を計画する。介入効果の主要評価項目は、溜め込み状況によるストレスとし、副次評価項目は、居室の乱雑度等とする。測定用具は児童は開発する「日本語版子どものため込み行動評価尺度」、高齢者は既存の「日本語版Saving Inventory-Revised質問表」、副次評価項目は児童、高齢者共に「日本語版Clutter Image Rating自己写真判定表」を使用予定である。
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