2020 Fiscal Year Research-status Report
心理社会的要因からみた筋骨格系疼痛の発症メカニズムと、疼痛の地域間格差の解明
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19K19818
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
池田 登顕 山形大学, 医学部, 助教 (20804917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疼痛 / 心理社会的要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、2019年度に収集したデータの整理およびデータクリーニングを実施した。このデータを用いた、一時集計も行いデータの全容も把握することができた。 また、既存のデータを用いて疼痛の関連の非常に高い関節炎の社会経済状況についての関連についても強力な因果推論を可能とする統計手法を用いて分析も行い、国際学術誌に掲載することができた。この研究では、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県岩沼市に住む、65歳以上の高齢者2,360人を対象に、震災前(2010年)と震災後(2013年)の追跡調査データを分析し、震災の被害と関節炎の発症について検証した。その結果、震災により経済状況が変わらなかった群1,753人のうち震災後に関節炎が発症したのは60名(3.4%)であったのに対して、経済状況が悪化した群556人では35人(6.3%)であった。同様に、住宅被害が無かった群940人では28人(3.0%)であったのに対して、住宅被害あり(一部・半壊・全壊)群1,356人では65人(4.8%)であった。また、震災後に整形外科への受診を控えることが関節炎発症リスクを増加させる結果となった。震災の健康への影響はうつや認知症などの精神的健康のみならず、身体的健康も悪化しやすいことが明らかにすることができた。震災後の医療サポート体制の確立が関節炎発症抑制に重要な役割を果たすことが考えられた。 また、上記の研究のほか、腰痛発症のメカニズムや腰痛発症の緩和要因も最新の統計手法を用いることで明らかにする分析も行い、研究成果を現在、国際誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究計画で予定していた収集データの整理およびデータクリーニングを実施できたため計画通り進展していると考える。また、既存のデータを用いた研究成果の投稿も行うことができているため、順調であると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、取得したデータや既存のデータおよび国外のデータなどを活用することにより、疼痛発症のメカニズムや緩和要因の探索などを行う予定である。
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Causes of Carryover |
現在、投稿中の論文の論文掲載料が前倒して必要になる算段で、翌年度分の費用を前倒し請求したが、現在、国際学術誌のリバイス後の査読が長引いており、支出されていない。また、新型コロナウィルスの万円によって、当該研究における統計手法を学ぶための講習会や学会などの現地参加がなくなり、オンラインでの参加ができるようになったため、出張費などの支出も少なくなった。 この次年度使用額については、現在投稿中の論文の掲載料や学会での発表に充てる予定であり、研究計画に基づいて使用する予定である。
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