2023 Fiscal Year Annual Research Report
新たな画像技術を用いた褥婦の体幹筋損傷、体幹筋機能回復過程の解明
Project/Area Number |
19K19849
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
成田 崇矢 桐蔭横浜大学, スポーツ科学部, 教授 (70515577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腹直筋離開 / 腰部骨盤帯痛 / 産褥婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】腹直筋離開(以下DRA)は,妊娠中や産後の女性に多く見られる症状である.DRAの有無と腰部骨盤帯痛との関連は,未だ一定の見解に達していない.また,DRAの本邦における報告は、欧米と比較し少ない.研究目的は,妊婦の腹直筋間距離(以下IRD)と硬さと腰部骨盤帯痛との関連を明らかにすることとした.【方法】健常妊婦45名を対象に超音波を用いてIRDと腹直筋の押圧に対する変化を測定した.また,腹筋運動として頭部挙上運動とDraw in運動を行った際のIRDを測定し,安静時と運動時の差を求めた.さらに安静時と運動時との差の絶対値である運動時IRD変化量を求めた.疼痛部位は選択式とし,疼痛強度はNRSで評価した.統計は,妊娠経過による変化を検討するため,妊娠19週以前,20-31週,32週以降の3郡に分け,一元配置分散分析にて検討し,事後検定はTukey法を用いた.また,各IRDとNRSとの関係にはSpearmanの相関係数を用い,すべての有意水準は5%未満とした.【結果】DRAは,19週以前は28.6%,20-31週は73.7%,32週以降は89.5%と高率に発症することが明らかとなった.安静時IRDは19週以前に比べて20-31週(p=0.03),32週以降(p<0.01)は有意に拡大していた.腹直筋の弾性は,3群間に有意差を認めなかった.腹筋運動によりIRDは変化したが,運動により拡大,縮小する者がおり,個人差を認めた.IRDと腰部骨盤帯痛との関連は,安静時IRD(p<0.01,r=0.58)と頭部挙上運動時IRD変化量(p<0.01,r=0.46),Draw in運動時IRD変化量(p=0.01,r=0.43)と,それぞれ正の相関を認めた.【考察】運動時のIRD変化量と疼痛強度の相関を認めた事から,IRDの変化そのものが不安定性を表し,疼痛を誘発しているものと考える.
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