2019 Fiscal Year Research-status Report
日常生活における足関節の随意運動制御の役割 ~リズム運動機構に着目して~
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19K19877
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Research Institution | Tohoku Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
沼田 純希 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 助手 (20780464)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リズム運動制御 / 足関節運動 / タッピング課題 / 歩行リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
円滑に随意運動を行うには,脳内の適切な時間情報処理が不可欠である.近年,時間認知における小脳や大脳基底核,前頭葉の重要性が示され,小脳疾患やパーキンソン病患者の時間処理能力の低下が報告され,これに依る,随意運動の遂行能力の低下が疑われている.本研究は,上肢で行われたこれらの知見を基に,歩行に重要な下肢のリズミカルな運動について着目し,その制御パターンの特徴と制御に関わる脳領域を明らかとすることで,歩行障害に対するリハビリテーション技術の発展を目指すものである. 初年度は,下肢のリズム運動パターンの特徴を明らかにすることを目的とした.一定リズムで流れる音に同期して手指および足部で反応ボタンを押す同期タッピング課題について,①片側のみの運動,②両側を同じ方向に動かす同位相性の運動,③両側の交互運動(逆位相性の運動)の3種の条件で行った.さらに,感覚情報がリズム形成に関わる運動制御に与える影響を明らかにするため,音およびタップに伴う足底からの触覚刺激の有無の条件を変え,リズムパターンの変化を測定した.結果から,下肢の運動では上肢と比べて比較的長い(低頻度の)間隔でも安定して運動できることを確認した.さらに下肢の逆位相性の運動では他の条件に比べ,感覚フィードバックの条件(同期する音の有無,タップによる触覚刺激の有無)を問わず安定したリズム形成・保持が可能であることが明らかとなった.これらのリズム形成や保持が,どのような脳領域の活動によってなされているのかについては今後の検討課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019~2020年度の目標は,下肢のリズム運動制御について,運動頻度と両側の位相に着目し上肢との違いを明らかにすることであった.結果から,下肢の運動では上肢と比べて比較的長い(低頻度の)間隔でも安定して運動できること,さらに逆位相性の運動では他の位相条件に比べ,感覚フィードバックの条件を問わず安定したリズム形成・保持が可能であることが明らかとなった.また,これらの実験と並行し,非侵襲的手法を用いた脳機能計測のための準備および事前実験を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の目標は,非侵襲的手法を用いてリズム運動制御に関わる脳領域を明らかにすることである.現在は,新型コロナウイルス(COVID-19)の流行拡大の影響から,ヒトを対象とした実験は実施できておらず,実験方法および機器の動作確認等の実験準備を進めている.今後,状況が改善し実験再開の目途が立ち次第,データ計測を実施し成果の公表を行う予定である. 現在は,2020年度~2021年度の目標としている,リズム形成の運動制御に関わる脳領域を明らかにするため,近赤外線分光法(NIRS)や経頭蓋磁気刺激法(TMS法)などの非侵襲的手法を用いた脳活動の計測について実験準備を行っている.
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Causes of Carryover |
購入予定としていた実験機器(刺激発生装置)の変更を検討していた.申請していた機器とほぼ同機種の装置を入手できることになった.そのうえで,次年度以降の助成金について前倒し申請を行い,TMS法による脳機能計測に加えて本実験に必要と考えられた,脳血流量の変化を調べるための計測機器(近赤外線分光法:NIRS)を購入した.次年度以降の使用額については,消耗品費および成果の公表にあてる予定としている.
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Research Products
(3 results)