2023 Fiscal Year Annual Research Report
水素酸素ガスの吸入が筋疲労や筋痛に及ぼす回復効果の研究
Project/Area Number |
19K20017
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
遠藤 慎也 東海大学, 健康学部, 助教 (20824874)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素酸素ガス / 酸化ストレス / 伸張性収縮 / レジスタンス運動 / 回復効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、運動中に水素酸素ガスを吸入することで筋疲労および筋痛の回復に与える影響について酸化還元反応を中心に検証した。対象者は健常な男子大学生7名で、運動はタバタプロトコルによる高強度の自転車ペダリング運動を実施し、水素酸素ガス吸入と非吸入の条件で比較検証を行った。測定項目は、酸化ストレス(d-ROMs)、抗酸化能(BAP)、血中乳酸濃度、主観的疲労度を測定し、運動前後の生理的変化を検証した。その結果、運動中の水素酸素ガスの吸入が酸化ストレスや抗酸化能に対する直接的な影響について確認できなかったものの、運動課題自体が生体に与える酸化ストレスの増加と抗酸化能の向上が顕著であることが明らかになった。また、主観的疲労度に関しては、水素酸素ガスを吸入した際に若干低減する傾向がみられた。 研究期間全体を通して、水素酸素ガスを吸入するタイミングや運動内容を変えて実験を実施した結果、運動中及び運動後の水素酸素ガス吸入は運動による酸化ストレスや抗酸化能の変動には影響しないことが明らかになった。一方で、運動後の主観的な筋痛の軽減や筋力回復に対して一定の効果を示唆する結果が得られた。特に、運動後の疲労回復においては、水素酸素ガスの吸入が筋痛の減少に効果的である可能性が示唆され、その機序の解明など今後の課題が見い出された。 また、本研究における運動負荷は身体的な負荷が高かったことから、ほとんどの被験者が運動習慣者であった。運動習慣によって潜在的な抗酸化能も異なることから、個々に慎重に検討していく必要がある。また、運動内容によっても酸化還元反応が異なることから運動強度別に検証していく必要がある。
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