2020 Fiscal Year Research-status Report
真性粘菌の数理モデルをリザバーとした極端な一般化能力を持つ機械学習手法の開発
Project/Area Number |
19K20388
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
谷 伊織 神戸大学, 情報基盤センター, 助教 (70751379)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 真性粘菌 / 生物計算機科学 / リザバー計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,真性粘菌 Physarum polycephalum (モジホコリカビ)の数理モデル(真性粘菌計算機)と機械学習のフレームワークを組み合わせて,効率的な機械学習手法を開発することを目的とする.これまでの研究では,真性粘菌計算機をフィードフォワードネットワークにおける特徴量抽出器として利用し,一般的な学習器と連結させることで画像分類等のタスクが可能であることを検証した.一方で,真性粘菌計算機と学習器の連携や真性粘菌計算機の性能面でボトルネックが認められ,想定よりも時間的・計算的コストが発生していた. 当該年度にあっては,このボトルネックを改善するためのアルゴリズムの改良等を中心として研究を行った.特に,学習器部分の計算速度を向上させるため,汎用GPUを追加で調達sるなどの対策を行った. しかしながら,新型コロナウィルスの感染拡大に伴うキャンパスへの入校制限などの影響により,当該年度内に研究を完了することが困難であると判断されたため,研究期間の延長を申請するとともに,以下のような追加的な課題についても検討を行うこととした. これまでの研究では,真性粘菌計算機はいわゆるフィードフォワードネットワークの代替として利用を想定してきた.しかしながら,一般的なリザバー計算アーキテクチャで行われているリカレントニューラルネットワークを真性粘菌計算機で代替することも可能であり,またインパクトが強いと考えられたため,次年度においてより対象を広げて研究することとした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大に伴うキャンパスへの入校制限等の影響により,当該年度(特に前半)においては計画通りに研究を行うことが困難であった.また,10月より研究機関を異動したことによる科研費の移管手続き等で,研究費を執行できない期間が発生するなどしたため,当該年度中に研究を完了することは困難であると判断された.そのため,研究期間を一年延長することとし,申請を行った.
|
Strategy for Future Research Activity |
フィードフォワードネットワークにおける画像分類タスクでの利用については,従前のとおり検証を行う.また,リカレントニューラルネットワークを代替し,時系列データの分類等を行うタスクについても追加的に検討する.なお,新型コロナウィルス禍の先行きが不透明ではあるが,今後感染状況が悪化した場合でも,大学VPN等を用いて遠隔的に研究を実施できる環境を既に整えている.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴うキャンパスへの入校制限等の影響による研究計画の遅れのほか,本人の異動に伴う科研費移管手続き期間等が発生したため.また,当初予定していた国内外の学会等の開催スケジュール・方法等が変更されたため. これらについては,研究を一年間延長し,主として原著論文の投稿やそれにかかる英文校閲などに利用する予定である.
|