2023 Fiscal Year Annual Research Report
環境定位に基づく市民の保全活動への参加意欲を高める緑地景観マネジメント方針の検討
Project/Area Number |
19K20502
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高瀬 唯 茨城大学, 農学部, 講師 (00793803)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境定位 / 自然に対する感情反応 / 緑地保全活動への参加意欲 / 労働意思量 / ウォーカビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,市民が保全したいと思える緑地景観のイメージを解明し,市民の保全活動への参加意欲を向上できる景観マネジメント方針の検討を行う。そのために,市民の環境定位の傾向と緑地保全活動への参加意欲の程度にはどのような関連があるのかを明らかにする。 最終年度は単に市民の環境定位の傾向と緑地保全活動への参加意欲の程度の関連を明らかにするのではなく,緑地へのアクセシビリティという観点も加えた上でのこれら関連の様子を明らかにする研究を進めた。アクセシビリティの指標としてはウォーカビリティを扱い,環境定位の指標としては自然に対する感情反応を用いた。研究対象地は千葉県我孫子市とし,まずは緑地周辺の客観的なウォーカビリティの評価を行い,研究対象とする緑地を選定した。調査対象者は研究対象緑地の1㎞圏内に含まれる地区の住民とし,郵送によるアンケート調査を実施した(n=552,回収率20.6%)。調査の結果,緑地までのウォーカビリティは緑地保全活動への参加意欲と直接的には関連が見られないことが明らかになった。しかし,緑地までのウォーカビリティと緑地の利用状況は関連が見られ,さらに,緑地の利用状況と緑地保全活動への参加意欲も関連が見られた。このことから,緑地までのウォーカビリティが良ければ市民は緑地をよく利用するようになり,緑地をよく利用するようになれば緑地保全活動への参加意欲が高まると言える。一方で,環境定位の違いによる緑地までのウォーカビリティは緑地保全活動への参加意欲との関連に対する影響は見られなかった。しかし,環境定位の違いは緑地の利用状況に関連していた。このことから環境定位とウォーカビリティは独立した関係にあり,それぞれによって緑地利用の状況は影響され,緑地保全活動への参加意欲とつながることが明らかになった。
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