2019 Fiscal Year Research-status Report
農離れが進むラテンアメリカ農村においてコーヒー・アグロフォレストリーが果たす役割
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19K20521
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 奈都穂 (藤澤奈都穂) 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特任研究員 (00838443)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アグロフォレストリー / コーヒー / ラテンアメリカ / 小規模農家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、中米パナマ共和国において現地調査を実施した。生業における農業の比重が低下するなかで、住民がコーヒー・アグロフォレストリーを実施することの利点を検討するため、情報収集をした。パナマでは近年、都市部への出稼ぎなどが増加し、農村の生活は大きく変化している。一方で、不安定な雇用状況の中で、帰村する者も非常に多いことがわかった。そのような都市部との行き来をとおして、農村における生業戦略は世帯によって大きく異なっていった経緯が明らかになってきた。帰村まもない30代を中心とした世帯への重点的な聞き取りにより、帰村に際するモチベーションに関しても情報が多く得られた。 成果発表に向けては、国内外の研究者とのディスカッションにより、共著論文の投稿に向けて執筆作業を進め、次年度の早い段階での投稿に向けた準備が整った。スミソニアン熱帯研究所のデータポータルを利用し、これまで実施したコーヒー・アグロフォレストリー内と、近隣の二次林の植生調査により確認したすべての樹木の特徴を整理し、コーヒーアグロフォレストリーの森林としての機能の評価の解析につなげた。 年度途中より、本務先のプロジェクトにより本研究へのエフォートを下げる期間もあったが、国内における文献調査、研究会への参加により、気候変動や開発の影響など考慮すべき点が広がりつつ明確になった。地球規模の様々な農村の課題のなかで、本研究の位置づけと意義、今後の展望に必要な視点を広げられたことは大きな進展である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の調査において対象地とすることを予定していた地域に関する基礎情報を収集することができ、また、調査内容の精査も進み、研究の基盤を確立することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨今のCOVID-19に関する国際情勢により、フィールドワークを実施可能な時期の想定が困難なため、オンラインシステムなどを利用して現地とのやり取りを続ける方策を検討するとともに、国内において、文献調査を継続する。また、コーヒーの流通・販売・消費を通じて中米のコーヒー産業と関わりがある国内関係者を対象とした調査を実施する。
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Causes of Carryover |
本務先の業務が年度途中より発生し、当初予定していた調査を実施できず、また発表予定であった学会や研究会の中止が重なったため、次年度使用額が生じた。次年度は、2回の現地調査とそれに関わる謝金、国際学会での発表に関する費用、論文執筆に関わる英文校閲費用などに使用する計画である。
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Research Products
(4 results)