2021 Fiscal Year Research-status Report
農離れが進むラテンアメリカ農村においてコーヒー・アグロフォレストリーが果たす役割
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19K20521
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤澤 奈都穂 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特別研究員(CPD) (00838443)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アグロフォレストリー / コーヒー / ラテンアメリカ / 小規模農家 / 農離れ / 生業複合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では「現在の中米の農村において、住民の生業戦略と地域の森林保全の両立に、アグロフォレストリーはどう貢献しうるか」を核心的問いとし、中米パナマ共和国において、生業における農業の比重が低下するなかで、住民がコーヒー・アグロフォレストリーを実施することの利点を明らかにする。そのため、生業におけるコーヒー栽培の重要性がことなる3地域を比較することで、それぞれの条件に応じたアグロフォレストリーの活用可能性を検討することを目指す。 本年度は、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス拡大の影響で、本研究をすすめるに当たり必須である現地調査の実施が困難であった。そのため、オンラインによる現地とのやり取りを中心に研究を実施した。コーヒー・アグロフォレストリーにとどまらず、アグロフォレストリーという土地利用がコロナ感染拡大による移動制限や現金収入の急激な変動の中で、食料供給元としての役割を果たすことが地域住民からも再認識されている現状が明らかになった。さらに、外出制限により、農地までの移動が困難であった時期はホームガーデンなどの居住地周辺の資源が通常時よりも利用された可能性が示唆された。様々な資源が保たれているアグロフォレストリーの柔軟性がどの程度発揮されたのか、管理の方法によって異なったと考えられる。感染症拡大に伴い住民の生業に変化が生じたが、それに対するアグロフォレストリーの対応可能性をさらに検討する必要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染の拡大と、それに伴う調査国の国内の移動規制により、調査の進捗が著しく制限された。特に、研究代表者の渡航ができず、現地研究協力者も地域をまたいだ移動が制限されため、比較を念頭に置いた新たな調査地の設置が困難であった。そのため、計画していた比較調査を実施することが困難であり、限定的な内容の調査にとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
現地研究協力者との連携により、比較対象の3地域において聞き取り調査やサーベイを実施する。それぞれの地域の協力者との連携で、外部との出入りによる感染拡大のリスク、地域の人たちへの不安を最大限減らすことで現地調査を実施する。 感染症拡大の前後で地域住民の生業や土地に対する認識が変化したことが予想される。このような状況に即したアグロフォレストリーという土地利用のポテンシャルを捉えられるよう、感染症の影響も考慮し調査を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外の実地調査が困難であったため、研究を遂行することが困難であった。そのため海外渡航費を含む予算を使用せず次年度使用額が生じた。 次年度は、遠隔調査にかかる人件費や経費として使用するとともに、当初より予定していた海外実地調査のための渡航費や必要物品購入費などとして、研究費を使用する。特に、比較調査を調査対象村近辺の協力者とともに同時進行で行うことを想定しているため、人件費への支出の増加を計画している。
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Research Products
(5 results)