2021 Fiscal Year Research-status Report
Influence of Migration and Change of Cacao Production Base in Asia and Africa
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19K20557
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂梨 健太 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90749128)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カカオ生産 / 熱帯地域 / 労働問題 / 移民 / チョコレート / フードシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、コロナの影響でカカオの生産拠点であるインドネシア、コートジボワール、カメルーンを候補とした現地調査をおこなうことができなかった。そのため、海外での調査を諦めて、日本国内でのカカオ生産や流通、日本と生産国との関わりに焦点を当てて、調査をおこなった。 日本国内でカカオを栽培する動きがあり、とくに沖縄本島において、少量ながらもカカオ畑がつくられ、チョコレートの加工、流通につながる現状をオンラインによる聞き取りから確認した。また、インドネシアの豆を輸入して、豆からチョコレートまでを一貫して製造するビーン・トゥ・バー・チョコレートの状況について、香川で調査を始めた。この企業とインドネシアとのつながりには、インドネシアの技能実習生を受け入れている事業組合の影響がある。単純なカカオ豆の輸入だけでなく、人の動きも巻き込んだインドネシアとの関係性を検証した。それによって国境を越えた農作物の輸出や生産拠点の変遷と人の移動の関わりを加味した分析が不可欠であることを再確認できた。昨年度の調査をおこなった京都のチョコレート企業と今回の香川の事例を比較しながら、ビーン・トゥ・バー・チョコレートの言説がはらむ問題点を多様な視点から掘り下げることも可能となるだろう。 アフリカのカカオ生産拠点についても、現地調査をおこなっていないので、詳細を論じることはできないが、現地の農家へのオンラインによる簡単な聞き取りによって、コロナ禍のカカオ生産地の現状について、とくに大きく変化していないことを確認した。また、日本の援助という視点から、中部熱帯アフリカについて言及し、外部の関与が地域住民にどのような影響を与えるのか、カカオ生産地域にもつながる論点を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で現地調査ができず十分なデータを集められず、国内の調査に切り替えようとしたが、国内でも移動の制限により十分な調査ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度よりも国内外での調査ができることを念頭に研究計画を立てる。他方、現地調査ができないことも想定して、可能な範囲で資料収集などをおこない、あらたに歴史的な視点を取り入れた研究を進めていく。具体的には、現在のカカオの生産地域における、カカオ栽培が普及するまでの樹木栽培の歴史である。日本や欧米による、アジア・アフリカの樹木栽培にたいする介入がどのようなものであり、現在の状況にどう影響していったのかということにかんする研究に着手しながら、現地調査との二方面で今後の研究を推進していく。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、予定していた出張ができず、残額が生じた。今年度は、今後の研究推進政策にしたがって、対面でのイタンビュー調査だけでなく、資料収集も含めた調査に経費を使用する。
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Research Products
(1 results)