2019 Fiscal Year Research-status Report
Social design for child rearing support in Japan based on Finnish Neuvola
Project/Area Number |
19K20617
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下村 萌 九州大学, 芸術工学研究院, 学術研究員 (50816048)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 社会デザイン / サービスデザイン / 子育て / フィンランド / 行政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、妊娠希望者及び子育て世代が安心して妊娠・子育てができるよう、市民のニーズに適した行政の妊娠・子育て支援のモデルを探求し、行政機関に向けた参考指標を作成することである。2019年度は、日本とフィンランドの子育て支援に関する社会システムの文献調査、福津市及び福岡市とフィンランドのエスポー市で子育てに関するステークホルダー調査を行い、社会システムの把握と現状の課題を抽出する事を目標とした。 まず、日本の子育て支援に関する文献調査を行った。2019年4月13日に福津市市民8名、2019年10月29日に福岡市市民8名を対象にワークショップ形式で、現状の子育て支援に対する聞き取り調査を行った。また、両市の子育て支援を担当する行政職員に対し、現行の体制や課題などの聞き取り調査を行った。2019年9月8日から13日にフィンランドにて子育て支援の専門家であるエスポー市子ども福祉サービス課、Kela(フィンランド社会保険庁事務所)、エスポー市保育園・小学校・ネウボラ、THL(国立健康福祉センター)、ヘルシンキ市ヘルシンキラボ、フィンランド移民局に対する現地調査および聞き取り調査を行った。また、現地で子育て中の市民2名に聞き取り調査を行った。 これらの調査から、日本では子育てに関する行政の縦割り体制や乳幼児健診における課題が明らかになった。フィンランドでは子育てに関するステークホルダー間の連携は良好だが、男性の子育て参加促進が課題として挙げられた。また、両者とも子育て支援サービスを一覧できる媒体がないことが示唆された。こうした課題を改善するために福岡市と協働して子育てサービスを俯瞰するマップのプロトタイプ制作、福津市と協働して乳幼児健診の改善及び市民と職員による評価を実施した。 研究成果は、2019年6月に国際学会NORDES2019で発表した他、学術雑誌デザイン学研究で本研究論文が掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画は、日本とフィンランドでそれぞれ妊娠から子育てに関わるステークホルダーへの聞き取り調査を行い課題を抽出することであった。それに対し、研究実績で示すように、福岡市及び福津市、エスポー市及びヘルシンキ市で聞き取り調査を実施し課題を抽出することができた。 フィンランドでの調査は、専門家への聞き取り調査に時間を要したため、市民に対する聞き取り調査を十分に実施することができなかった。フィンランドの子育てに関わる市民への聞き取り調査は引き続き来年度に実施予定である。 2020年度に計画していた子育て支援サービスデザインのコミュニケーションツール作成を予定していたが、国内調査が予想以上に進展したため、すでに福岡市と協働して子育てサービスマップのプロトタイプ制作に一部着手できている。以上のことから、研究はおおむね順調に推移していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き日本及びフィンランドの子育て支援に関する文献調査を継続して行う。フィンランドの子育て中の市民を対象にした聞き取り調査を実施する。日本とフィンランドの調査から、子育て支援の全体像を行政が理解し市民に伝えるツールの必要性が示唆された。そのため、子育てサービスの包括的な理解と子育てに関する網羅的な情報集約を目指した子育て支援サービスマップに焦点を絞り、プロトタイプ制作、試用運用、評価・検証を行う。
|
Causes of Carryover |
国際学会発表のための英文校正費として予算執行を計画していたが、研究協力者による英文校正が行われたため使用に至らなかった。次年度に執筆予定の論文で英文翻訳・校正費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)