2020 Fiscal Year Research-status Report
Social design for child rearing support in Japan based on Finnish Neuvola
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19K20617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下村 萌 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (50816048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 社会デザイン / サービスデザイン / 子育て / フィンランド / 行政サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、妊娠希望者及び子育て世代が安心して妊娠・子育てができるよう、市民のニーズに適した行政の妊娠・子育て支援のモデルを探求し、行政機関に向けた参考指標を作成することである。本年度は、日本の現状に適した子育て支援モデルを構築することが目標であった。 まず、昨年度から引き続き参考調査として、フィンランドの市民調査を行った。2020年8月にフィンランドの子育て支援を利用する男女6名にインタビュー調査を実施し、子育て支援のデジタル化(DX)や支援提供者の共感に課題があることが聞き取れた。 次に、2019年に福岡市と共同開発した子育てサービスを俯瞰するマップを他自治体に展開した。今年度は福津市をケーススタディとして、昨年度の手法を活かして子育て支援ツール「子育てサービスマップ」のプロトタイプを作成した。このプロトタイプを使って子育てに関係する様々な行政職員の検証を得た。さらに妊娠・子育て中の市民9名が参加する市民参加型ワークショップを開催し、当事者からの多様な意見を収集・検証した。こうした評価から改善を行い、2021年1月から福津市で子育てサービスマップを約5000部配布した。今後も引き続き行政施設をはじめ、地域の子育てサロン、駅やショッピングモールなど福津市内174箇所で市民へ無料配布する。また、福津市公式HPからダウンロード可能である。 さらに、福津市の子育て支援サービスウェブサイト、子育てアプリの開発に協力し、子育て支援の情報発信のモデルを探求した。 これらの調査・検証結果を踏まえ、子育てサービスマップを作成することで、それまでバラバラであった子育て支援情報を包括的に集約し、効率的に利用者へ届けるための一つのモデルとして可能性を見出すことができた。本年度の研究成果は、博士論文の一部として執筆した。また、成果物の子育てサービスマップは新聞や自治体広報誌などで広く取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究実施計画は、日本の現状に適した子育て支援モデルを構築することであった。それに対し、研究実績で示すように、福岡市及び福津市で市民のニーズや評価を制作プロセスに組み入れながら子育てサービスマップの制作、社会実装することができ、子育て支援のモデルとして可能性を見出すことができた。以上のことから、研究はおおむね順調に推移していると言える。
当初の計画ではフィンランド市民の子育て環境や子育て関連施設の現地調査も行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により、オンラインでインタビュー調査を実施し、現地調査は延期した。フィンランドでの現地調査ができるようになれば、すぐに調査開始できるよう準備を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
現在配布を開始した福津市の子育てサービスマップについて、利用者である市民を対象にアンケート調査を行い、定量的な評価・検証を実施する。アンケート調査の結果を受けて、子育てサービスマップを改良する予定である。同時に、福津市で試したモデルを全国的に展開するための方法を検討する。 また、フィンランドの市民調査で得られたDXやサービス提供者の共感について、日本での実現可能性を模索する。具体的には、サービスマップで収集したサービスや情報をウェブサイトやアプリなどへDXするために必要な条件を整理すること、また、サービス提供者と市民の共感をどのようにデザインできるか検討する。
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Causes of Carryover |
フィンランド市民の子育て環境や子育て関連施設の現地調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により渡航旅費を使用しなかった。来年度以降に、渡航可能になれば現地調査の渡航費用として使用予定である。
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Research Products
(2 results)