2019 Fiscal Year Research-status Report
研究者間の創造的連携を支援する視覚的対話プログラムの開発
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19K20622
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
富田 誠 東海大学, 教養学部, 准教授 (50631826)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚的対話 / 共創 / 科学技術コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究課題の研究計画にあげた項目のうち、初年度となる2019年度は【1. 視覚的対話の手法に関する調査研究】及び【3.視覚的対話WSの設計と開発】を重点的に取り組んだ。 【1. 視覚的対話の手法に関する調査研究】は、共創の場において用いられる既往の視覚的対話手法を文献調査によって明らかにし、論文「共創の場における視覚的対話手法の比較」(査読付き)としてまとめた。具体的には、デザインゲーム、マッピングワークショップ、ビジュアルファシリテーションという3つの視覚的対話の手法がどのような歴史的背景から成立し、手法の特徴を比較研究した。 【3. 視覚的対話WSの設計と開発】は、専門性の異なる研究者が自分の研究内容を描き出し、それらを図的に統合し新しい研究計画を立てる2種類のWSを設計し、筑波大学及び東海大学、早稲田大学にて実施した。1種類目は研究計画の段階で予定していた表現方法であったが、それに加えてモノを使った立体表現なども試し、表現のしやすさや、連携のしやすさに影響するかについて検討した。 また、このようなワークショップの実施の際は、多人数インタラクション研究や会話分析などの領域の研究手法を参考にビデオ撮影し分析を進めている。通常の会話と視覚的対話の際のコミュニケーションの差を、身振りや指さし、注視などの観点から違いを示し発表した(Designシンポジウム2019)これらは、【4.プログラムの実施検証及び公開】におけるプログラムの効果検証の方法などにも生かされる予定である。 最後に、非研究者である一般人を対象とした視覚的対話WSなども実施し(諏訪市、北海道医療大学)、街づくりや相互理解など研究内容以外の視覚的対話の可能性を見ることで、研究の応用性について確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進んでいると言える。研究計画では次年度以降に予定していた項目にも試験的に取り組むことができた。 【1. 視覚的対話の手法に関する調査研究】前述の通り、網羅的に視覚的対話の手法を調査し、論文としてまとめることができ、本研究で行う視覚的対話の手法の位置付けが明確となった。 【2 研究者および研究支援者に対する調査研究】リサーチアドミニストレーターなど研究支援を担う専門家へのヒアリングをおこなった。また、研究者を対象としたWSを通じて、アンケートを用いた調査をおこなった。今後は、科学技術コミュニケーション分野における先行研究の調査及び、研究者を対象としたWEBアンケート調査などでより定量的な調査を検討している。 【3. 視覚的対話WSの設計と開発】前述の通り、研究計画で予定していたWSに加え新たなプログラムも設計し、試験的に実施をすることができた。今後は、視覚表現のしやすさと、表現したものの統合のしやすさを両立させるプログラムの検討をおこなう。 【4.プログラムの実施検証及び公開 】プログラムの実施を試験的に行ってきた。同時に、視覚的対話による質的変化を確認できるよう、ワークショップの記録方法を工夫してきた。例えば、発話とジェスチャー、注視などを複合的に調査するための多点のビデオ撮影などをおこなってきた。今後は視覚的対話がもたらす質的変化を明らかにするリサーチデザインの検討をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の計画は【2 研究者および研究支援者に対する調査研究】【3. 視覚的対話WSの設計と開発】を進める。 【2 研究者および研究支援者に対する調査研究】に関してはアンケート調査の設計、集計、結果の分析などを行う。【3. 視覚的対話WSの設計と開発】に関しては、現在のところ新型コロナウィルス感染症により計画が建てにくくなっている。2020年度4月以降は研究者を対象としたWSの開催が困難な状況であり、今後も実施できるか不明である。そこで、研究者のオンラインミーティングにおけるオンラインホワイトボードなどを用いた視覚的対話の手法の開発の可能性を模索し調査を開始する予定である。 2021年度はプログラムの実施検証および公開を予定しており、プログラムの実施検証と改善、そしてプログラムを誰もが実践できるようなマニュアルの制作とウェブサイトなどによる公開を予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究会議を開く予定が新型コロナウィルス感染症の問題により、実験補助の業務(アルバイト)が大幅に縮小されたため。使用計画は、オンライン会議における視覚的対話の調査のために、ペン付きのタブレットデバイスなどの購入を予定している。
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Research Products
(9 results)