2021 Fiscal Year Research-status Report
公共図書館におけるマイノリティ向けサービスの提供実態とその要因に関する研究
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19K20632
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
水沼 友宏 桃山学院大学, 経営学部, 講師 (20822688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | LGBTQ / マイノリティ / 公共図書館 |
Outline of Annual Research Achievements |
公共図書館におけるマイノリティ向けサービスの提供実態を明らかにする一環として,これまで本研究では,性的マイノリティに関する図書を公共図書館がどの程度所蔵しているかを調査し,どのような公共図書館が当該図書を所蔵しやすいか,どのような図書が所蔵されやすいかを明らかにした。さらに,その上で他館に比べ性的マイノリティに関する図書の所蔵数が多かった図書館(5館)に対して,所蔵が多さについて思い当たる要因を尋ねるインタビュー調査を実施した。
今年度は,同様のインタビュー調査を続け,すべての調査予定館へのインタビューを終了した(回答者の希望によっては質問紙調査を実施した)。こうして収集した調査結果を分析したところ,複合施設や図書館の新しさが所蔵に影響を与える可能性や,図書館のある自治体の政策や職員の意識が性的マイノリティに関する図書の所蔵の多さに影響している可能性が示された。また,所蔵調査の結果とこれらの結果を合わせて論文として投稿した(査読通過済み。2022年度出版予定)。さらに,学校図書館(143校の学校図書館)を対象に行った所蔵調査の結果についても,論文として投稿した(査読結果待ち)。
これらの論文中には,図書館で所蔵されやすい性的マイノリティ向け図書のリストを示したが,このリストは,図書館で所蔵する性的マイノリティ向け図書を図書館員が検討する際に,役立つ可能性がある。また,性的マイノリティに関する図書を多数所蔵している図書館がある一方で,性的マイノリティに関する図書を所蔵していない図書館も一定数存在することや,どのような要素が性的マイノリティに関連する図書の所蔵に影響するのか示した本研究は,マイノリティに配慮した図書館サービスを提供する上での基礎資料にもなると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査やアンケート調査を実施し,複数の論文を投稿するなど,研究課題である「公共図書館におけるマイノリティ向けサービスの提供実態とその要因」について一定程度示すことができたと思われる。しかし,他のマイノリティに関する調査は滞っていることを鑑み,上記の結論に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
他のマイノリティに対する図書館のサービス,具体的には,言語的・民族的マイノリティに対するサービスや障害者サービスに関する調査の実施を検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響で,国際会議等の参加費を使うことが出来なかったため,次年度に持ち越した。翌年度分は,研究成果の発表旅費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)