2022 Fiscal Year Annual Research Report
公共図書館におけるマイノリティ向けサービスの提供実態とその要因に関する研究
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19K20632
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Research Institution | Momoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
水沼 友宏 桃山学院大学, 経営学部, 講師 (20822688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 図書館 / マイノリティ / LGBTQ / 障害者 / インタビュー調査 / 所蔵調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,日本の図書館におけるマイノリティ向けサービスの現状と,その現状を決定している要因を明らかにすることを目的として,(1)日米の図書館が公開するYouTube動画を調査,(2)性的マイノリティ(LGBTQ)に関する書籍の所蔵実態とそれに影響を与える要因の調査,の2つを行った。 まず,上記(1)として日米の公共図書館が提供するYouTubeを調査した結果,手話や様々な言語を用いた動画の配信など,いくつかのマイノリティサービスが提供されている実態が明らかになった。また,そのような動画は他の動画に比べ視聴回数が多くなることも示唆された。 次に上記(2)として,日本の公共図書館3,085館を対象とした所蔵調査を実施した結果,調査対象の性的マイノリティ関連書籍を1点も所蔵していない図書館が58館存在すること,絵本や日本・英米の小説・物語が所蔵されやすい一方,自叙伝を含むCコードの末尾が「95」の書籍は所蔵されにくいこと,性的マイノリティ関連のコミックスは需要が高いにもかかわらず所蔵されにくいことが示唆された。さらに,所蔵調査と図書館に対するインタビュー調査などの結果から,職員の意識や性的マイノリティに関する自治体の政策が図書館の性的マイノリティ関連書籍の所蔵状況に影響を与えていること,複合施設の中の図書館,特に複合施設の中に学校や教育施設等がある図書館であることや新しい図書館であることが,性的マイノリティ関連書籍の所蔵率の高さに影響を与えていることが示された。 以上の結果は論文として刊行するとともに,図書館員を対象とした研修会にて発表を行うことで,図書館の現場に還元した。
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Remarks |
図書館と LGBTQ. 令和4年度図書館地区別研修(近畿地区). 2023年1月25日
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Research Products
(2 results)