2023 Fiscal Year Annual Research Report
Digital Historical Research on Publishing and Reading Nationalisms in Spain
Project/Area Number |
19K20638
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
菊池 信彦 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (00826373)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタルアーカイブ / デジタルヒストリー / パブリックヒストリー / スペイン現代史 / 読書文化史 / テキストマイニング / 空間史 / 第二共和政 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、本の日とサン・ジョルディの日という2つの祭の「接続」を通じて、カタルーニャとカスティーリャのそれぞれの国家/地域文化ナショナリズムを「接続的な」観点から検討し、既存の対立図式とは異なる新しい解釈を生み出すことを目指している。 最終年度となる2023年度は、パンデミックによる現地調査規制も解除されたことで、2019年以来久しぶりにバルセロナでの史料調査と、本の日・サン・ジョルディの日の祭の実地調査を行うことができた。調査史料は、前年度に「推進方策」で述べた通り、特にスペイン内戦後の史料を対象とし、具体的には、書店組合文書やエフェメラ(書店チラシ・出版目録等)、歴史写真、そして祭当日の警備地図等、現地でなければ確認ができない史料を対象に行った。 帰国後は、それらの史料の整理と分析を進めているが、本研究計画の当初の目的、すなわち、現在までの本の日とサン・ジョルディの日の「接続」の分析を完遂するためには、改めて現地で内戦後の史料収集を行う必要があることを痛感する結果となった。これは、内戦後の史料には著作権保護期間対象のものが多く、オンラインでの入手が困難を極めるものであるという事情も背景にある。 一方で、本研究計画の特色のひとつであるデジタルヒューマニティーズやデジタルヒストリーという研究手法については、スペインにおける研究の現状を研究動向論文としてまとめて発表したほか、そこでの知見をもとに、スペイン・ポルトガル史の概説(未刊行)にも収録することができた。
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