2018 Fiscal Year Annual Research Report
Fight against air-hijacking, the rise of Japan, and the G7 summits
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18H05664
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
武田 悠 広島市立大学, 国際学部, 講師 (60638328)
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Project Period (FY) |
2018-08-24 – 2020-03-31
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Keywords | 日本政治外交史 / サミット(先進国首脳会議) / ハイジャック / 経済大国 / 1970年代 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高度経済成長によって「経済大国」となった日本が、1970年代以降、その経済力を背景として国際政治問題にどう関与したのかを明らかにすることを目的としている。そのために既に収集した英国のものに加え、日本及び米国の一次史料も収集し、先進国間首脳会議(サミット)での航空機ハイジャック問題をめぐる議論と、その議論における日本の役割を検討する計画である。 平成30年度は、国内において先行研究と史料の収集分析につとめた。特に重視したのは、先行研究ではテロリズム対策全般に関する研究、及びサミットに関する外交史研究であった。また一次史料に関しては、ハイジャック対策声明が採択された1978年のボンサミット以降の時期に重点を置いた。この時期には専門家によるフォローアップ会合が開催され、声明の実施をめぐる対立が続いていた。その対立を収束させ、サミット参加国間の合意に至る過程で日本が果たした役割を検討するため、日本外務省の一次史料を収集した。またこの史料を補足しうるような、当時の外交官や政治家の回顧録も調査した。 先行研究を幅広く検討したことにより、ボンサミットにおけるハイジャック対策声明が、当初経済問題を議論するために始まったサミットの性格の変化を先取りするものであるとともに、ハイジャック等の国際テロリズムへの対策においても主要国のみを集めた前例の少ない取り組みであったことを確認できた。本研究課題の位置づけをサミット及びハイジャック対策の歴史の文脈で確認するとともに、それが日本外交の歴史においてどのような意味を持っていたのかを検討するための一次史料も揃えたことで、今後の論文執筆や研究報告に必要な準備ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は、国内での一次史料の収集や従来より幅を広げた先行研究の収集・整理を終え、成果をとりまとめた論文の執筆及びその過程での研究報告が可能な態勢が整った。最終年度に向け、研究成果を発表するための準備が進んでいるため、進捗状況はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画に沿って、既に収集分析した史料及び先行研究を基に、この問題に深く関与した米国で追加の史料収集を行うと共に、研究会等で中間報告を行う。これによって修正が必要な点を洗い出した後、年度末に向けて本格的に論文を執筆し、年度内に投稿する。
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